上越市の第三セクター経営検討委員会は2010年3月31日、三セクの経営分析報告書を村山秀幸市長に提出した。多数ある三セクについて、いったん持株会社を設置して、その傘下で整理統合を行い、最終的には完全民営化を目指すべきとしている。
2005年の14市町村合併により同市では温浴施設など類似の第三セクターが多数ある。昨年4月、松本大学松商短期大学部の飯塚徹准教授(地域経営・地域経営専攻)、産業再生機構でカネボウやダイエーの再生に関わった大西正一郎弁護士(フロンティアマネジメント代表取締役)、公認会計士の山本秀一氏の3人による検討委を設置。出資割合50%以上の会社法法人13、民法法人8、直営施設3について経営者、従業員への直接の聞き取り調査、経営分析を行い報告書をまとめた。
報告書によると、同市の三セクは全般的に経営が厳しい。温浴施設のような多数の類似施設に加え民間との競合にパイの奪い合い、常勤役員不在などによる経営管理体制のぜい弱さが指摘された。報告書では法人ごとに個別の分析と課題抽出が行われている。
今後の方向性としては、市100%出資の持株会社を設置し、その傘下に既存の3セクを事業子会社として置く手法を提言している。持株会社が横断的な経営視点から個別の事業見直しを行い、完全民営化や解散などの整理を行う。
この日は委員を代表して報告書を提出した松本大学松商短期大学部の飯塚徹准教授は「持株会社による手法は民間では一定の成果を挙げているが、公的なものについては初めて。ここからが改革のスタート。今後も協力していきたい」と話した。