直江津駅で鳴くサンコウチョウの不思議

<動画=37秒>

上越市のJR直江津駅ホームに、美しい野鳥のさえずりが響く。

「ツキヒホシ、ホイホイホイ」「ツキヒホシ、ホイホイホイ」

新潟県では準絶滅危惧種の野鳥で、森の妖精として知られるサンコウチョウである。「ツキヒホシ(月日星)」とさえずるから、漢字で書けば「三光鳥」となる。

その鳥がなぜ、直江津駅に?

サンコウチョウ
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実は3か所ある階段の入口上部に設置されているスピーカーから鳴き声が流れているのである。

JR東日本新潟支社広報室によると、これは視覚障害者向けの「音声誘導装置」で、ホームに降り立った視覚障害者に改札口へ向かう階段がある方向を示すものだという。音の方向に向かって、ホームの黄色い線(誘導ブロック)に沿って歩いていけば、階段にたどりつくわけだ。なお、改札口の方向は「ピンポーン」という音で分かる。

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2004年からJR東日本が主要な駅に順次設置しているもので、直江津駅には2010年3月20日、上越地域では初めて設置された。ほかに新潟、長岡、亀田、新津、豊栄、六日町、新発田、加茂、東三条、内野の各駅に設置されている。

JR東日本が業者に発注する際の条件は「鳥のさえずり」であり、鳴き声の種類まで指定していないという。カッコーやキビタキなどさまざまで、直江津駅はたまたまサンコウチョウになったようだ。

視覚障害者のための設備であるが、一般の駅利用者にとっての「いやし」にもなっている。

ちなみにサンコウチョウはスズメ目カササギヒタキ科の鳥。目の周りがコバルトブルーの美しい鳥である。静岡県の県鳥であり、ジュビロ磐田のエンブレムは、この鳥が2羽と、月、日、星がデザインされている。

日本野鳥の会会員で、上越市東城町3の山本明さんは「日本には5月ごろに南からやってくる夏鳥。一時、かなり数が減ったが、最近は少し復活してきたようだ。特徴的な鳴き声は春の繁殖期の朝などに聞くことができる。里山の鳥で、上越市内では正善寺や五智公園などで見かける」という。