パチンコ店の輪番休業 なぜ休業日公表しない?

東日本大震災と、原発事故の影響で夏場の電力不足が懸念されることを受け、2011年7月1日から県内のパチンコ店で「輪番休業」が始まった。9月までの3か月間、実施する予定になっている。

店ごとに節電の取り組みを行っている上越市内のパチンコ店
ミスパチ


 関東地方などでは、どの店舗がいつ休むかというスケジュールを事前にポスターやホームページなどで公表している。しかし、新潟県内の各パチンコ店では公表していないため、「パチンコ店に行ったら休みだった」という事態も起きそうだ。また、せっかくのパチンコ業界の節電への取り組みが、一般にあまり認知されないことにもなる。

関東地方のパチンコ店では店頭やホームページで休業日を事前告知している
パチンコ店輪番


 新潟県遊技業協同組合(佐藤孔一理事長)によると、「いろいろな事情があり、どの店が何月何日に休むかという予定は公表しないことになった。告知方法は各支部に任せてある」という。

上越市内のパチンコ店10社(20店)でつくる上越遊技業組合(三井慶昭組合長)に聞くと、同組合が調整したスケジュールに基づき、各店は1か月に2日間休業するという。休業店舗名は事前に公表はせず、店ごとにポスターを掲示したり店内放送で案内するほか、登録会員向けの電子メール配信などで周知するという。

なぜ、事前に輪番休業の店を公表しないのだろうか。店や業界に話を聞いてまとめてみた。

その根幹にあるのは(1)パイは決まっている(2)客が少ない日に休みたい、という2点に尽きる。

(1)については、パチンコファンは玉が出る店を渡り歩くため、ある店が休むと、その分がほかの店に回ってくる。つまり「強い店(客がたくさん入る店)と一緒に休みたくない」のだという。これが同一歩調がとれなかった原因だろうか。

(2)については、客が入る土曜、日曜、祝日はそもそも電力が足りているので問題はない。しかし、25日以降の給料日後は客が入るので休みたくない。また縁起がいい「ゾロ目の日」の7月7日、8月8日、9月9日はイベントが集中するため、休みたくない日である。つまり、画一的に輪番制にすると不都合が出るというわけだ。また、「休みの前日は玉が出ない」というファンのジンクスもあり、事前に休みを公表すると客が減るのではないか、という読みがあるようだ。

上越遊技業組合によると、輪番休業の実施により、これまで各店ごとに実施している店内照明の削減、駐車場の街路灯の削減、ネオン看板の自粛などの節電と合わせ、前年比10%の電力量削減が見込まれるという。