ザクザク食感のまんじゅうが全国的に注目を集めている。福島県の老舗菓子店発祥の「かりんとう饅頭(まんじゅう)」という揚げまんじゅうで、生地に黒糖を混ぜ油で揚げた、かりんとうのような食感と風味が特徴だ。
上越地方では妙高市の「東京堂」(宮下八郎社長)が昨年初めに売り出し、「1日1000個」の販売目標を早々と突破、今春のゴールデンウイークには1日2000個も売る大ヒット商品となった。
「かりんとうまんじゅう」の人気の秘密を、宮下社長に聞いた。
まずは生命線となる皮のザクザク感。特に梅雨時は湿気を吸うため、食感の維持には神経をつかう。朝は午前5時前後から揚げ始め、午前8時の開店に間に合わせる。1日3~4回に分けて揚げることで、いつ食べてもザクザク感がある。
また、賞味期限を1日にし、当日食べてもらうことに徹した。そのため、他店への卸はせず、同市内の本店、国道店の2店のみの販売とした。
追従した店もあるが、「このザクザク感はどこもまねができない」と、自ら現場に立つ宮下社長は胸を張る。
黒糖は風味豊かな沖縄産で、あんも上質なものにこだわった。油臭くならないよう吟味した米油を使っており、揚げる温度や時間なども工夫したため、油っぽくない。皮には独特の光沢が出ていて見た目も美しい。
値段も1個90円(税込み)に抑えた。5個入り450円というワンコインでおつりが来る価格に抑えたことも、不況下に売上を伸ばした秘密のようだ。
「遠くからはるばる買いに来る方がいたり、若い人から喜ばれているのが特にうれしい。感謝感激です」と宮下社長は話す。
最近はモスバーガーの「ざくざくラー油バーガー」や、売れすぎて一時販売休止になったロッテのアイス菓子「ザクリッチ」など、ザクザク食感の食品が注目されている。
全国でかりんとうまんじゅうが人気を集めているのも、「ふかふか」イメージの饅頭に「ザクザク」という異質なものを取り入れたことが成功の秘密か。和菓子業界では「いちご大福」以来のヒットかもしれない。
販売しているのは本店(妙高市朝日町1-2-9、TEL0255-72-2652)、国道店(妙高市諏訪町2-3-12、TEL0255-72-1973)。営業時間は午前8時~午後7時。年中無休。