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「あるけばきんぽうげ すわればきんぽうげ」(種田山頭火)
山頭火(1882~1940)の句のように、黄色い絨毯を敷き詰めたような情景が目の前に広がる。ここは新潟県妙高市の笹ケ峰高原。牧場で優雅に草をはむ牛たちのかたわらに、5弁の花びらを開いたキンポウゲが風に揺られている。
笹ケ峰牧場で見ごろを迎えたキンポウゲ
笹ケ峰に咲くキンポウゲ
キンポウゲは金鳳花と書き、日本原産の花である。別名、ウマノアシガタともいい、葉が馬の足や、ひづめに似ているという説がある。
「笹ケ峰高原の植物」(2010年3月・妙高市教育委員会発行)によると、この花は有毒であり、牛も食べないという。そのため大群落ができている。
枝分かれをした茎の先に、花が一つずつ付いているが、花びらに光沢があり、太陽の光を浴びると、きらきらと光り輝く。このため英語ではバター・カップ(Butter Cup)と呼ぶ。
往年の映画ファンならご存知のイギリス映画に「きんぽうげ」(1970年)という青春映画の佳作がある。自由奔放な4人の若者の自由な生き方、フリーセックス、友情を描いた作品で、当時、高田中劇でも上映された。
草むらに横たわる美しいジェーン・アシャー(ポール・マッカートニーの恋人)の裸の背中や、風にそよいで光る金色のうぶ毛は、まるでキンポウゲの花のように美しかった
甲斐バンドに「きんぽうげ」という歌があるが、花の名は歌詞の中に一度も出てこない。映画公開後の1977年発売の曲なので、この映画を下敷きにしているのだろうか。
笹ケ峰高原のキンポウゲは、6~7月に咲く。今年は開花が遅れ、6月中旬から咲き始めた。6月下旬~7月中旬が見ごろになりそう。
キンポウゲが咲いている場所は、笹ケ峰グリーンハウス周辺。特に1周約2キロの遊歩道沿いが見事。柵越しに牛の放牧風景も見られる。途中に平成の名水に選ばれた「宇棚の清水」もある。
=川村=