【TJ調査隊】なぜ? 高校球児が駐車場で “守備” 上越市の高田公園野球場

2018年5月13日まで行われた春季北信越高校野球新潟県大会で、上越市では高田公園野球場が試合会場となった。高田公園野球場では選手がグラウンドではなく駐車場でグラブを手に “守備” に就く姿が見られた。球場の外の駐車場に飛んでくるファウルボールが車や人に当たるのを防ぐため、野球部員が飛んできたボールをキャッチしていたのだ。

高田公園野球場前の駐車場で “守備” に就く野球部員たち DSC_3120

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車を守る高校球児たち

同野球場で試合があったのは4月28日から5月2日までで、1〜3回戦8試合が行われた。

高校球児が駐車場で守備をするはめになったのは、同野球場に隣接し「高田公園オーレンプラザ」が昨年整備されたことに伴い、駐車場が野球場近くまで拡張されたためだ。野球場周辺は、人通りの少ない公園内の通路だったため、以前は場外ファウルボールは問題にならなかった。駐車場は約260台分整備され、このうち野球場側の約100台分を駐車禁止にして、残りのスペースに停められた車を野球部員たちが守っていたのだ。

駐車場拡張も飛球対策せず

同野球場は、老朽化のため2011年度に内野席や本部席を改修。2014年度にも再度改修工事を実施している。県高野連主催の公式戦を開催できるようにとの野球関係者の要望を受け、両翼を5m拡張したほかスコアボードを電光掲示板に交換した。2014年度の改修工事と並行して、隣接地に昨秋完成したオーレンプラザの建設も計画されていた。陸上競技場も隣接することから駐車場が拡張されたが、野球場からの硬式球のファウル対策は行われなかった。

バックネットを越えてファウルボールが駐車場に飛んでくるDSC_3042

このため駐車場完成後に行われた昨秋の北信越高校野球新潟県大会支部予選では、急遽野球場側の駐車スペースを駐車禁止にし、付近に野球部員を配置して飛んできたボールをキャッチするという異例の対策を講じることに。同野球場を管理する上越市教育委員会の調査では、この時には2試合で7、8球程度の場外ファウルがあった。

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今秋以降に5000万円かけ防球ネット設置

上越市教育委員会は本年度に約5000万円をかけて、球場外側に防球ネットを設置することにしたが、設置は秋以降になるという。このため5月2日まで行われた春季北信越高校野球新潟県大会は、市教委と県高野連が協議し昨秋と同様に高校球児に車を守らせる対応となった。

イベント重複時 駐車場100台分無駄に

またゴールデンウィーク前半の4月28、29日には隣接する陸上競技場で上越陸上選手権が、29日にはオーレンプラザでファミリー対象やポップス曲などのコンサート「スプリングフェスティバル」が、30日には多目的広場で人気イベントの「上越市みどりのフェスティバル」がそれぞれ開催された。約100台分のスペースを駐車禁止にしたうえに大会やイベントが重なり、公園内の駐車場は満車状態となった。

場外ファウルボールのため駐車禁止スペースが設けられた野球場前の駐車場 野球場駐車場

市教委「その時々で最善の対応」

市教育委員会体育課は「その時々の状況にあわせ、関係者と協議し最善の方法で対応してきた。場外ファウルボールについても、(駐車場整備という)状況変化によって対応が必要と判断したので予算計上した」と説明している。

本年度はこの後、同野球場で硬式の高校野球の公式戦は行われない。

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