旧師団長官舎がレストランに 上越市が民間事業者を公募

新潟県上越市は2019年9月17日、同市内に残る歴史的建造物である大町2の旧師団長官舎をレストランなどに、大町5の旧今井染物屋をバテンレースなど高田地区の伝統の手仕事が体験・見学できる施設に改修する利活用方針を、上越市議会総務常任委員会所管事務調査で明らかにした。旧師団長官舎については18日から、運営する民間事業者の公募を始める。ともに2021年度の供用開始を予定している。

上越市は地方創生の取り組みの一つとして、歴史的建造物を生かしたまちなかの回遊観光によるにぎわい創出を目指している。市は昨年、2つの建物の利活用について民間事業者からアイデアを求めるサウンディング型市場調査を実施していた。

大町2の旧師団長官舎
旧師団長官舎

旧師団長官舎は、1910年(明治43年)に旧日本陸軍高田第13師団長の長岡外史によって建てられた和洋折衷の木造建築。1993年に明治の貴重な建物を保存するため大町2に移築、復元された。

市は、建物の趣をいかしたレストランなどを想定しており、公募型プロポーザル方式で民間事業者を決める。民間事業者は2階建ての建物1棟を一体的に管理するが、市民や観光客が建物の見学だけの目的で入館できるようにする。9月18日から10月15日まで民間事業者の募集を行い、本年度に実施設計を行う計画だ。

大町5の旧今井染物屋
旧今井染物屋

旧今井染物屋は、江戸時代末期に建てられた高田に現存する最古の町家建築の一つ。主屋の2階の床を天井にした「造り込み式雁木」や自然光を取り入れた吹き抜けのチャノマなど、雪国・高田を代表する町家建築として、先月、市文化財に指定された。

地元の大町はかつて「職人町」だったことから、建物の趣のある空間を生かしつつ、バテンレースや染物など高田の伝統の「手仕事」を体験・見学できる地域文化の発信施設として整備する方針。本年度に実施設計を行う。

両建物とも2020年度に改修工事、2021年度の供用開始を予定している。