上越市がエフエム上越の民間譲渡検討 「単独では経営困難」

新潟県上越市は同市の第3セクター、エフエム上越について、民間への事業譲渡に向けて売却交渉を進めていることを、開会中の市議会で明らかにした。同社はここ数年、累積欠損が資本金の半分を超えるなど厳しい経営状況が課題となってきた。

エフエム上越は、上越市の一部などを放送エリアとするコミュニティーFM局で、市が51%を出資。2019年度の決算では58万円の黒字となったが、累積欠損金は3135万円に上り、資本金(5000万円)の約6割となっている。また、売上高4102万円の約半分は市からの放送委託料。

売却方針は同市が取り組んでいる3セク経営健全の一環。市は、SNSの普及などにより情報収集手段が多様化したことで全国的にラジオ離れが進んでいることを踏まえ、同社について「広告収入の大幅な増加は見込めず、放送事業単独での黒字化、事業継続は非常に厳しい」(八木智学総務管理部長)として、事業譲渡を含めた抜本的な経営改善を進めている。

9月16日の総務常任委員協議会で八木部長は「ようやく事業譲渡について相手方を含めて緒についた。コミュニティー放送は緊急時の防災放送の機能はしっかり維持していく」と説明した。

エフエム上越は市民への行政情報の提供や災害時の緊急情報の提供などを目的に1999年に設立された。

▼市議会に示されたエフエム上越の決算書や事業計画などの資料

出資法人等経営状況報告書(エフエム上越)(PDF、1.2MB)