一人で米軍に立ち向かった不屈の男カメジロー描く 高田世界館で12月2日から上映

アメリカ占領下にあった戦後の沖縄で、民主主義を求めてたった一人で米軍に“NO”を叫び続け、投獄されながらも民衆の支持を集め沖縄を一つにした男、瀬長亀次郎を描いた映画「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」が2017年12月2日から、新潟県上越市本町6の高田世界館で公開される。11月18日に行われた先行上映会に、「筑紫哲也NEWS23」のキャスターで知られる佐古忠彦監督が来場し、本作が初監督となった映画への思いを語った。


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趣旨に共感した坂本龍一がテーマ曲

映画は、第54回ギャラクシー賞月間賞を受賞した2016年放送のテレビドキュメンタリー番組を追加取材し、再編集した。祖国復帰へ向けて闘い続けた亀次郎の“不屈”の人生を、関係者の証言や貴重な映像、写真によって描いた。作品の主旨に共感した坂本龍一がテーマ曲を手がけ、大杉漣が語りを担当している。

トークショーに出演した佐古監督。「NEWS23」でおなじみだ
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先行上映した沖縄でロングラン

映画上映後に開かれたトークショーで、佐古監督は沖縄でヒットしている状況を「(映画館に)並んでいる知らない者同士が亀治郎の思い出話で盛り上がったり、亀治郎の話を聞きに来た、会いに来たという人であふれた。亡くなって16年。亀治郎が今も愛され、なお求め続けられていることが改めて分かった」と話す。

これまで全国20か所以上の劇場を回っているが「こんな人物がいたとは知らなかった」「同じ日本人なんだから考えなくてはいけない」「亀治郎さんを引っ張り出してくれてありがとう」などという声が寄せられているという。

亀治郎は戦後史の主人公の一人

これまで携わってきたニュースの報道現場からみて「テレビのニュースはどうしても瞬間を切り取るだけで、全体像が伝えられないもどかしさがあった」と話す。「辺野古移設問題にしても“また沖縄が反対している”という声が本土から挙がる。これは沖縄戦(1945年)と今の間がごっそりと抜け落ちているためではないか。亀治郎は戦後史の主人公の一人であり、鮮烈な記憶を沖縄の人に残している。この人を通じ歴史を見ることで、違った見え方ができると思った」と制作の動機を話す。

沖縄は勝ち取った民主主義

映画は世界最大の民主主義国家であるアメリカが、選挙で選ばれた亀治郎を追放しようと画策した事実を描く。「本土は“与えられた民主主義”だが、沖縄は本当の民主主義を求めて闘い続け、勝ち取った民主主義。人口比からすると1%の沖縄なので、どうしても少数派として切り捨てられるが、少数派や弱者に耳を傾けるのも民主主義」と話した。

↓予告編

◇公式サイト http://www.kamejiro.ayapro.ne.jp/

◇上映時間などは高田世界館公式サイトで http://takadasekaikan.com/