新潟県上越市春日山町1の同市埋蔵文化財センターで、かつて春日山城跡の毘沙門堂に安置してあり、明治・大正を代表する彫刻家の高村光雲(1852〜1934)が制作した「木造毘沙門天像」が2019年8月19日から展示されている。一般公開は初めてで、期間は8月30日まで。
郷土の戦国武将、上杉謙信は仏教を守護する四天王の一つ毘沙門天を敬い、自らを毘沙門天の化身と信じ、軍旗には「毘」の一字を用いていた。また、出陣前に毘沙門天を安置した毘沙門堂に籠もり、戦勝祈願を行ったといわれている。
上越市によると、謙信が祈願した毘沙門天像は上杉家の移封に伴い会津を経て米沢に移されたが、火災で被害を受けていた。このため1928年、上野公園の西郷隆盛像などを制作した著名な彫刻家で仏師でもあった高村光雲が修理を担当し、その際、像のかけらを体内に収めた分身像を制作。1930年に当時の春日村に寄贈され、翌年に建設された毘沙門堂に安置された。
その後、1969年のNHK大河ドラマ「天と地と」の放送で多くの観光客が春日山城跡に訪れるようになったことから、盗難防止のため、青銅製の像と入れ替え、像は所有者の春日地区町内会長連絡協議会が保管していた。数年前からは埋蔵文化財センターの特別収蔵庫で保管している。
展示は8月24、25日に開催される第94回謙信公祭にあわせて実施。像は木像で大きさは約40cm。左手にやりを持ち、よろいで身を固め怒りの表情をしている。
所有する春日地区町内会長連絡協議会の清水栄一会長は「元号が令和になったこともあり、特別に展示することにした」と話している。開館時間は午前9時〜午後5時。入場無料。
上越市埋蔵文化財センター https://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/bunkagyousei/sisetu-maizou.html