日本初の「貨客混載列車」試験運行 乗客いる列車に宅配便 北越急行と佐川急便

北越急行と佐川急便が実用化を目指す、乗客と宅配便を同一の鉄道車両で輸送する日本初の試み「貨客混載列車」の試験運行が2016年11月8日、ほくほく線のうらがわら駅(新潟県上越市)─六日町駅間(南魚沼市)で行われた。乗客のいる列車の中の一角に、荷物を積んだコンテナを運んで固定し、来春の実用化に向けて運行に支障がないかを確認した。

鉄道車両内にコンテナを固定する佐川急便社員
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鉄道を利用しての宅配輸送は、二酸化炭素の排出量削減を目的に、国土交通省が導入を推奨している。両社は今年6月、環境保全の一環として、ほくほく線を使って宅配便を輸送することに合意。北越急行によると、乗客の乗った鉄道車両にコンテナを積んで輸送する取り組みは日本初。北越急行は北陸新幹線開業に伴う特急「はくたか」の廃止による減収を少しでも回復させ、佐川急便は降雪期の輸送路確保と将来の運転手不足に備えようという狙いがある。

荷物の運送区間は、佐川急便上越営業所から六日町営業所まで。使用する駅は、営業所からの距離やエレベーターの有無、駅のホームから駐車場までの距離などを踏まえ、うらがわら駅と六日町駅に決まった。両駅間の全長は約47km。

車輪の付いたコンテナの大きさは縦165cm、横65cm、奥行き94cmで、最大積載量は1箱約200kg。車両内の車いす用スペースの一部に専用のベルトで固定する。両営業所間の輸送量を考慮し、コンテナは2箱使用する。鉄道での輸送時、佐川急便の社員は同乗しないが、コンテナは施錠し、中の荷物が見えることもない。

この日が初となった試験運行では、六日町駅でコンテナを積んで出発。通常運行時の時速110kmでうらがわら駅を目指した。道中では試験的に非常ブレーキもかけたが、固定したコンテナが倒れることもなく、安全性が確認された。うらがわら駅に到着すると、佐川急便の社員がコンテナを下ろし、トラックに積み込む過程を確認した=写真=

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来年3月にはコンテナの出し入れに必要な時間を考慮した新たな運行ダイヤを作成する予定で、4月前後に実用化したい意向。荷物の運送は1日に上下線各1本までとし、乗車率の低い夜間での導入を図る予定だ。

北越急行の磯部正昭運輸部長は「揺れたり、音を立てるといったトラブルは確認されなかった」と手応えを口にした。佐川急便の萩原健二営業課長は「(コンテナの)四隅の角がとがっているので、保護用のゴム材などで対策したい」と話した。