新潟県はナス王国! 緑や白色のナス、細長い鉛筆ナスなど、20種類の在来種を一堂に紹介

ナスの作付面積日本一なのに、収穫量7位、出荷量17位の不思議

新潟県はナスの作付面積が約604haで、断トツの全国1位だという。しかし、収穫量は6830トンで7位、出荷量は2240トンで17位にとどまる(2017年度の農水省出荷統計)。

これは新潟県人は無類のナス好きで、出荷せず自分たちで食べてしまうことが理由だと言われている。だが、ナスをまだ小さいうちに収穫しナス漬けにするなど、贅沢な食べ方をしていることなども一因のようだ。

初の「にいがたナスサミット」 上越市で開催

ナスサミットで行われたシンポジウム(上越市)
シンポジウム

これは、2019年7月21日、新潟県内の生産者、関係団体が集まって上越市大道福田のJAえちご上越・富岡出張所と上越あるるん村で初めて開かれた「にいがたナスサミット」で紹介された。

あるるん村では、県内で栽培されている在来種20種類のナスが一堂に展示された。上越産の「越の丸なす」や「上越丸えんぴつナス」をはじめ、細くて長い「鉛筆なす」、白い「越後白なす」、緑色の「笹神なす」などユニークなナスが並び、買い物客の関心を集めていた。

県内産の在来種20種類のナスが一堂に並んだ(あるるん村)
ナス展示

こんなにたくさんある! 新潟県の在来ナス

越の丸なす(上越市、糸魚川市)

昭和51年に新潟県園芸研究センターで開発された。直径が大きく甘みがあり、加熱しても煮崩れしにくい。煮物のほか、ステーキが絶品。

越の丸なすS

上越丸えんぴつナス(上越市)

上越市の安塚区、大島区などで70年以上の間、大事に種を取り続けながら栽培されてきた。アクが少なく、油やだしとの相性が良い。とろけるような食感と風味で、煮ても焼いても良い

上越丸えんぴつなすS

 

笹神なす(阿賀野市)

阿賀野市笹神地区大室の在来ナス。昭和初期に栽培が始まったとされるが、江戸時代に京都から伝来したという説もある。緑皮の丸なすで果肉がしっかりして煮物、みそ漬けに向く。アントシアニンがないので、料理が黒ずまない。

笹神なすs

越後白なす(新潟市)

新潟市西蒲区で昭和の初めに栽培されていた。葉や茎、へたが緑色で、アントシアニンの緑色が現れることがない。皮は硬いので、むいて調理する。果肉は甘みがあり、加熱するととろりとした肉質になりおいしい。油との相性も良い。

越後白なすS

鉛筆(新潟市)

先端が鉛筆のように尖っていることから名付けられた。白根市(新潟市南区)が本県の発祥とされるが、宮崎市の佐土原(さどわら)が元々の品種。果肉、皮とも柔らかく、日持ちは良くないが、とろけるような肉質。浅漬け、炒めもの、天ぷら、焼きなすなど。

鉛筆S 

塩俵鉛筆(新潟市)

最初に導入されたのが塩俵地区のために名付けられた。西区の木場では木場なすと呼ばれる。果肉、皮とも柔らかく、日持ちは良くないが、とろけるような肉質。浅漬け、炒めもの、天ぷら、焼きなすなど。

塩俵鉛筆S

あのみのり2号(新潟市)

国立研究開発法人、農業・食品産業技術総合研究機構で育成された。紫黒色が濃く、皮が固く、日持ちが良い。切り口が変色しにくく、きれいな断面を保つことができる。皮や果肉が固いため、浅漬けには向かない。

あのみのり2号S

梨茄子(黒十全)(長岡市)

2種類ある梨なすのうち、濃紺色でヘタ下が淡紫色。電球形で浅漬けに向く。昭和30年代に下越地区で生産されるようになり、黒十全と呼ばれるようになった。

梨なすs

本当の梨ナス(長岡市)

昭和13年、長岡市中島の土田真十郎が白根市から導入。大阪泉州地域原産で、京都瀧井種苗で販売されていたものが十全村から白根、長岡市中島へと伝播した。皮色薄く、へた下は黄色。身質はしまり、皮が薄く柔らかい。浅漬け、加熱料理にもいいが、皮色が変色する。大阪で消えてしまった昔の泉州水なすである。

本当の梨なすs

中島巾着(長岡市)

明治40年代に長岡市中島地区の小川文四郎が栽培したと語り継がれる長岡市の代表的伝統野菜。扁平形で巾着のしわがあるのが特徴。

中島巾着s

 

久保なす(新発田市)

新発田市豊浦地区久保の在来なす。昭和初期に栽培が始まったとされるが、来歴は不詳。鉛筆なすの一系統。果肉が柔らかく、幼果を浅漬けにする専用種として発達。

久保なすS

牧目なす(村上市)

村上市神林地区牧目の在来なす。鉛筆なすの一系統。大正時代には既に栽培されたと伝えられる。幼果を浅漬けに利用し、大きいものは焼きナスにする。

牧目なすs

やきなす(新潟市)

昭和36年ごろに木崎地区笹山の農家が、鉛筆ナスを選抜して作り上げた。焼いて食べたらおいしかったことからこの名がついた。身は柔らかく、水分が多く、甘みがあるのが特徴。

やきなすS

一日市なす(新潟市)

旧新潟市一日市(現新潟市東区)原産で、大形地区、阿賀野川河畔で戦前から栽培されていた丸ナス品種。果実が赤紫で、黒くないのが特徴。調理しても煮物や汁を汚さないために喜ばれる。煮崩れしにくいので煮物、焼き物、炒めもの、揚げ物などの加熱料理に向いている。みそ漬け、粕漬けなどにも良い。

一日市なすS

十全なす(新潟市)

大阪の伝統ナス「泉州水なす」がルーツ。昭和3年に中蒲原郡十全村の農家が種を購入し栽培した。本十全、白十全とも呼ばれ、へた下が薄い緑色。皮、肉質が柔らかく、多汁で浅漬けには最高の品種。炒めたり、蒸しても甘く柔らかくおいしい。

十全なすs

深雪なす(魚沼)

黒十全系統の地元在来種を選抜改良した。水分が多く、甘みが強い。果実は柔らかく歯切れが良い。漬物はもちろん、煮崩れしないので様々な料理が可能。果実は大きいほどアクが少ない。生食も可。

深雪なすs

早生大丸なす(新潟市)

京都の育苗会社が昭和27年に育成した古い丸なす品種。新潟市北区はこの品種の主産地。やや長めの丸なすで、肥大が良く、色も濃く、皮はやわらか。果肉はしまっている。

早生大丸なすs

島見なす(新潟市)

旧豊栄市島見(現新潟市北区)で戦前から栽培されていた固定種の丸ナス品種。皮の色が濃く、果数が多く、とれる量が多い。果肉がしまり、煮崩れしにくいので加熱料理に向く。みそ漬け、粕漬けなどの加工にも向く。

島見なすs

八石なす(長岡市)

長岡市小国町で栽培されている「新潟黒十全」。多汁質で果皮がとても柔らかく、強い甘みと光沢が特徴。小国を代表する山「八石山」にちなみ名付けられた。平成26年に「長岡野菜」に認定された。

八石なすs

梵天丸(十日町市)

品種名の由来は、伊達政宗の幼少期の名から付けられた。薄皮で肉質が緻密で歯切れの良さが特徴。漬物、焼き物、煮物などさまざまな料理に応用できる。

梵天丸s