高田公園西堀で蓮バトル 和蓮が優勢、黄花の外国種を駆逐?

「東洋一のハス」で知られる新潟県上越市の高田公園で、西堀北側に勢力を伸ばしていた黄花の蓮「ミセス・スローカム」が、2015年は花の数が少ない。ここ数年は在来種の和蓮が元気で、侵略してきた外国品種を駆逐しそうな勢いだ。

西堀北側に生育するミセス・スローカム。黄色にピンク色が交じる
ミセススローカム拡大S

高田公園のハスは1871年(明治4年)、戸野目の大地主、保阪貞吉が財政難の高田藩を救うため、レンコン栽培を目的に大金を投じて植えたのが始まり。当然ながら種類は和蓮で、赤花が主体だが、北堀などでは白花も交じる。

「ミセス・スローカム」は、アメリカのペリー・D・スローカム氏によって1965年に作られた品種。アメリカと中国の品種を交配したもので、大型の黄紅系八重咲きである。なぜ、この品種が高田公園の西堀北側に広がったのか。

1979年(昭和54年)に高田公園のハスが壊滅状態になった際、原因調査を担当した東京大学の北村文雄教授が、1983年(同58年)に12種類の観賞用ハスを上越市に寄贈した。ミセス・スローカムは、そのうちの一種類。西堀の一角に木わくで囲って植えたものが、地下茎が伸びて広がった。

ミセス・スローカムの黄花が広がった西堀北側(2005年8月)
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繁殖力が強いため、西堀北側一帯にどんどん広がり、西堀橋の近くまで勢力を伸ばした。一時はミセス・スローカムの黄色い花が、半数近くを占有するほどだった。蓮は地下茎で広がるため除去は難しく、実でも繁殖する。除草剤の使用も困難なため、対策はお手上げの状態だった。

今年は花の数がめっきり減ったミセス・スローカム(2015年8月)
ミセススローカム写真S

近年は和蓮に勢いがあり、今年は堀の水面が蓮の葉でびっしりと覆われた。一時隆盛を極めた黄色い花は数えるほどしかない。このまま和蓮が押し切り、外国品種を駆逐することが可能なのか。

ハスの管理を行っている同公園管理事務所の石田三郎さんによると「今年はミセス・スローカムの花の付きが悪いだけかもしれない。和蓮はここ数年元気だが、勢いが弱まれば再び黄色い花が巻き返すことも考えられる」と話す。

水面下では、川中島の合戦のような激しいバトルが繰り広げられているのだろうか。