新潟県上越市の温浴施設などの第3セクター7社を傘下に置く持株会社「J─ホールディングス」(西本町4、早川寿男社長)が、事業会社4社が赤字を計上するなど設立時に掲げた「3年間で全社黒字」の目標が達成できず、厳しい経営状況となっている。同社傘下以外にも経営状況が悪化している3セクがあり、同市は25%以上出資する25の第3セクターについて、2019年度に民間譲渡や廃止などを含めた方向性を決定する方針だ。
「3年間で全社黒字」掲げ設立
J─ホールディングスは2013年、経営健全化策として温浴施設などを管理運営する7社を経営統合し持株会社として設立した。社長には公募で選ばれた同市出身で元JCB北海道監査役の伊藤利彦氏が就任し、総務や企画部門の統合、共同仕入れや人員の流動化による経費削減を図ることで「3年間で全社黒字」を掲げていた。経営の立て直しで事業会社の財務力を養い、将来的には完全民営化することも目的としていた。
債務超過1社、累積欠損3社
しかし、5期目となる2017年度決算では事業会社4社が赤字を計上。またホテル米本陣(三和区)を運営する「三和振興」は債務超過となっていて、キューピットバレイスキー場(安塚区)の「キューピットバレイ」とマリンホテルハマナス(柿崎区)の「柿崎総合開発」、温泉施設の鵜の浜人魚館(大潟区)の「大潟地域活性化センター」の3社は累積欠損金を抱えている。初代社長の伊藤氏は2017年6月に退任し、代わって元市職員の早川氏が社長に就任した。
専門家「当初計画は未達成」
上越市は本年度、J─ホールディングス設立検討時と同じ公認会計士、弁護士、大学准教授の3人の専門家による「第三セクター等経営検討委員会」を再設置し、改めて経営状況などの検証を行ってきた。
検証結果では、同社は営業活動の推進や経営ノウハウを生かした指導で事業会社の活性化など一定の成果があったものの、持株会社の効果とされていた経費縮減の取り組みが進まず、「当初計画は未達成」と結論付けた。経営方針が次第に「経費削減」から「売上増加」に転じ、その売上も思うように伸びなかったのが要因という。
市は民間譲渡や廃止含め検討
また同社傘下以外の18社も、2017年度決算で6社が累積欠損金を抱え、温泉宿泊施設のくわどり湯ったり村などを運営する「リフレ上越山里振興」は債務超過に陥っている。このため市は本年度内に第3セクターの見直しの考え方や進め方を定めた関与方針を策定する。2019年度は策定した方針に沿って、関係する25法人について民間譲渡や廃止などを含めた方向性を決定することにしている。
▼J―ホールディングス傘下7社
- キューピットバレイ(キューピットバレイスキー場)
- 柿崎総合開発(マリンホテルハマナス)
- 大潟地域活性化センター(鵜の浜人魚館)
- ゆったりの郷(長峰温泉ゆったりの郷)
- 三和振興(ホテル米本陣)
- 黒倉ふるさと振興(ゑしんの里やすらぎ荘)
- ゆめ企画名立(うみてらす名立)
▼上越市が25%以上出資している法人
- 雪だるま財団
- 上越勤労者福祉サービスセンター
- 浦川原農業振興公社
- 大島農業振興公社
- 牧農林業振興公社
- 清里農業公社
- 上越市地域医療機構
- ゑしんの里観光公社
- くびき野森林組合
- リフレ上越山里振興(債務超過)
- よしかわ杜氏の郷(累積欠損金あり)
- J―ホールディングス(累積欠損金あり)
- マリーナ上越
- エフエム上越(累積欠損金あり)
- みなもとの郷(累積欠損金あり)
- やまざくら(累積欠損金あり)
- 新潟県雇用環境整備財団
- 東頸バス