上杉謙信が栽培を奨励し、財政基盤を築いたとされる植物「カラムシ」を使ったかまぼこが、新潟県上越市春日新田5の「口福の店 魚住かまぼこ店」に登場した。春日地区で採取したカラムシの若芽ペーストを練り込んだかまぼこに、金、銀箔をのせた桐箱入りの豪華仕様で、「上杉謙信公 義の口福箱」として完全予約制で販売。このほど関係者を招いた商品の完成お披露目会が開かれ、同店は「上越を代表する新しい土産品、贈答品になれば」と期待を寄せている。
カラムシはイラクサ科の多年生植物。カラムシから取り出した繊維「青苧」は戦国時代には上杉謙信の財源を支えたと言われている。同店はこのカラムシを使用したかまぼこの商品化に着手。春日山麓で採取したカラムシの若芽ペーストをすり身に混ぜ込んで使用し、カラムシ本来の色を出すことや、食感など、目指す商品に向けて完全手作業で試作を繰り返し、3年の歳月をかけてようやく完成したという。
商品完成に向け、カラムシや青苧について、同市の「越後青苧の会」から資料やデータなどの提供を受けたほか、谷愛宕地内でのカラムシ採取に関しては蜂ヶ嶺用水組合から協力を得たという。
お披露目会には関係者や越後上越上杉おもてなし武将隊が招かれ、同店の田村博店主から各団体に感謝状が贈呈された。田村店主は「カラムシの色がなかなか出ずに諦めようとしたが、謙信公の名を汚したくなかった。とにかく良いものを作りたかった」などと製造過程での苦労のほか、関係者への感謝の言葉を述べた。
商品完成を受け、「越後青苧の会」の近藤紀一郎代表は(80)は、「実は(魚住かまぼこの亡くなった)先代と青苧のかまぼこを作る約束をしていた。完成を非常に感謝している。これからもできるだけ協力していきたい」と話していた。
「義の口福箱」は通年販売だが、予約を受けてから製造するため、1週間前までに予約が必要。桐箱付きの特別仕様で、2本入り5000円(税別)。問い合わせは同店025−543−2438。