2018年2月7日のテレビ朝日系「グッド!モーニング」で、気象予報士の依田司さんが、福井県での豪雪に関連し、日本が世界に名だたる豪雪地であることを、アメリカの気象会社AccuWeatherのランキングを取り上げて解説しました。
不思議なのは1位の上の欄外に「新潟・上越市(日本)」とあり、966cmという記録が掲載してあることです。1位の青森市を上回る豪雪地があるという意味で、依田気象予報士が付け加えたものと考えられます。
AccuWeatherの「世界豪雪都市ランキング」
まずは、出典となっているAccuWeatherの「世界豪雪主要都市トップ10(英語)」を見てみました。
このランキングは、人口10万人以上の都市の年間降雪量を比較したものです。1位の青森市の年間降雪量は792cmとなっています。現在の青森市の平年値(1981~2010年平均)は669cmなので、集計期間が異なるのでしょうか。
上越市高田のランキングは2位?
ちなみに上越市高田の平年値(1981~2010年平均)は635cmなので、ランキングに当てはめると札幌市を上回り、2位ということになります。住民感覚からしても、札幌市や富山市を上回るのは当然でしょう。
上越市高田の雪に関する公式記録は1921年(大正10年)に高田測候所ができてからのものになりますが、1978年(昭和53年)以降は上越市の高田(旧高田測候所)、大潟区、安塚区、吉川区、板倉区にアメダス観測所が設置されました。
966cmの地点は安塚区だった
このうち、最も雪が深い上越市安塚区のデータを見ますと、年間降雪量の平年値が966cmとなっており、依田気象予報士が示した積雪量と一致します。つまり、「新潟・上越市(日本)」としてあったデータは上越市安塚区のものである可能性が高いと思われます。
では、本当に上越市安塚区の年間降雪量(平年値)が世界一なのでしょうか。
安塚区以上の豪雪地はない?
例えば新潟県のデータだけをみても、津南(津南町)が1349cm、守門(魚沼市)が1343cm、湯沢(湯沢町)が1180cm、関山(妙高市)が1172cm、十日町(十日町市)が1169cmと、安塚区を上回る地点は存在します。また他県では、長野県野沢温泉の1177cmが安塚区を上回っています。
しかし、AccuWeatherの「世界豪雪都市ランキング」は “人口10万人以上の都市” での比較でした。つまり、この条件下では、これらの市町村はいずれも人口10万人以下なので、該当しません。
上越市は世界一の豪雪都市だった
やはり依田気象予報士が示したように、上越市は世界一の豪雪都市ということになりそうです。安塚区が “都市か?” と言われると疑問は残りますが……。