上越と妙高3蔵元の酵母、水、蔵で初の共同醸造 5月に「バトン」新発売へ

新潟県上越市の竹田酒造店(大潟区)と頚城酒造(柿崎区)、妙高市の千代の光酒造の3蔵元は、全国的にも珍しい共同醸造による新商品を早ければ2024年5月に発売する。竹田酒造店の蔵付き酵母、頚城酒造の仕込み水を千代の光酒造の蔵に持ち込んで醸した純米大吟醸で、銘柄は貴重な酵母や水を引き継ぐ意味を込めた「Button(バトン)」だ。

蒸した酒米を蔵付き酵母や水、麹(こうじ)とまぜる仕込み作業

3蔵元は2023年に蔵元の垣根を越えたユニット「kurap3(クラップスリー)」を結成し、それぞれの蔵に住み着いている蔵付き酵母で、古い伝統的な酒造りの手法である“生もと造り”の新商品を発売した。

今回の共同醸造はユニットブランド第2弾。門外不出とも言える蔵付き酵母を別の蔵に持ち込み、もう一つ別の蔵の仕込み水を使うという、チャレンジングな酒造りだ。

かい棒でまぜて酒母を作る

3月14日には3蔵元が千代の光酒造に集まり、「もと立て」と呼ばれる初めての仕込み作業を行った。麹(こうじ)と頚城酒造の仕込み水の湧き水「大出口泉水」、竹田酒造店の蔵付き酵母が入ったタンクに、蒸した上越産の酒米「山田錦」36kgを投入して酒母を作った。全体では約900kgの酒米を仕込み、約2000リットルを醸造する見込み。

(左から)頚城酒造の吉崎杜氏(とうじ)、千代の光酒造の池田社長、竹田酒造店の竹田専務

竹田酒造店の竹田春毅専務(39)は「千代の光の蔵に入ったのは初めてで、設備の違いも分かっておもしろかった。どんな酒になるのか仕上がりが楽しみ」、頚城酒造の杜氏(とうじ)、吉崎司さん(46)は「仕込みの最中に他社の蔵に入ることはまずなく、見るだけでもすごく勉強になる。共同醸造で3社の酒造りは伸びていくと思う」と話した。共同醸造を提案した千代の光酒造の池田剣一郎社長(40)は「今後は千代の光のウエイトが大きくなり心配な部分もあるが、どうなるか楽しみで新鮮」と蔵元の垣根を越えた新しい酒造りに期待を込めた。

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