伝統の酒造り“生もと”で同時発売 上越と妙高の3蔵元がタッグ

新潟県上越市の竹田酒造店(大潟区)と頚城酒造(柿崎区)、妙高市の千代の光酒造の3蔵元は2023年7月25日、古い伝統的な酒造りの手法である“生もと造り”で醸造した新商品を発売した。蔵元の垣根を越えたユニット「kurap3(クラップスリー)」を結成し、それぞれの蔵に住み着いている「蔵付き酵母」での酒造りに挑戦した。

生もと造りの新商品を手にする(左から)竹田酒造店の竹田春毅さん、千代の光酒造の池田剣一郎さん、頚城酒造の八木崇博さん

現代の一般的な酒造りは、もろみのベースとなる酛(もと)と呼ばれる酒母を仕込む際に、コメ、米こうじ、水に醸造用の乳酸や酵母を添加するが、生もと造りでは酒蔵の中に生息する乳酸菌を取り込み、自然に作られた乳酸を使う。さらに今回は、酵母も日本醸造協会などで純粋培養したものではなく、蔵付き酵母を増殖させる「酵母無添加」で醸した。雑菌の繁殖防止のための管理など手間も時間もかかる手法だが、近年、蔵独自の味になるとして見直されつつある。

3蔵元は昨年、西日本で生もと造りに精通した複数の蔵元を訪ねて勉強会を行い、冬にそれぞれが最難関の酒造りに挑戦した。生もと造りは時間かけて熟成するため、複雑味がある骨太な味わいになるが、広報担当の千代の光酒造の池田剣一郎社長(40)は「(共通して)生もとらしい複雑味がありつつも、生もととは思えない爽やかさがある」と話す。

また竹田酒造店の竹田春毅さん(38)は「(代表銘柄の)かたふねとは香りは違うが特長の甘さは奇麗に表現できた」、頚城酒造の八木崇博社長(47)は「どんな味になるか想像がつかない中でのチャレンジだったが、複雑な香りと味で頚城酒造らしさが随所にある」とそれぞれ語った。

「kurap3生酛・蔵付き酵母仕込み」の(左から)かたふね(竹田酒造店)、越路乃紅梅(頚城酒造)、千代の光(千代の光酒造)

ユニットのクラップ3は、「蔵」と英語で拍手喝采を意味する「clap(クラップ)」から名付けた。ラベルは自然の個性が組み合わさった酒をイメージし、ガラスを組み合わせたステンドグラスをデザインしているという。

いずれも720ml入りで、1980円。出荷本数は各約800本程度。各蔵元の取扱酒販店で販売している。

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