能登半島地震受け上越市の直江津港に津波観測装置 気象庁が観測体制強化

能登半島地震を受け、気象庁は2024年3月26日、津波被害があった新潟県上越市の直江津港内に、臨時の津波観測装置を設置した。リアルタイムで潮位変動が確認できるようになり、引き続き警戒が必要とされる津波の観測体制を強化する。

直江津港に設置された機動型津波観測装置

県内の津波観測点は、新潟市や柏崎市など4か所あるが、津波被害が大きかった上越市には津波観測計が設置されていなかった。同庁が行った能登半島地震の津波現地調査によると、船見公園では津波が内陸へ駆け上がった高さの遡上(そじょう)高が5.8mに達していたことが確認されており、地震活動が続いている状況も踏まえ、臨時的に設置を決めた。

機動型津波観測装置の模式図と設置状況(気象庁ホームページ測候時報第82巻「潮位・津波観測システムについて」より)

電波が海面から反射して戻って来る時間で潮位を測る電波式津波観測計と、海面の変動による水圧の変化で津波の高さを算出する巨大津波観測計の二つを、直江津港南ふ頭のみなと風車公園近くの堤防に設置。データを送信する衛星アンテナや自家発電するソーラーパネル、バッテリーなどの装置もクレーンで運び取り付けた。

クレーンで装置を運び堤防に取り付けた

送受信に問題がなければ翌日の27日から運用を開始する予定。同庁で津波や潮位の監視を行うほか、ホームページでリアルタイムの潮位データを提供する。設置期間は未定で、今後の地震活動などを踏まえて決めるという。

環境・海洋気象課の野崎太調査官は「今後も津波の可能性があり、上越市で遡上高5.8mという事実も含めきちんとした観測が必要。より早く事実をつかめ、正確な情報を県民の皆さんに伝えられる」と話した。

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