能登半島地震では新潟県上越市直江津地区に津波が押し寄せた。直江津には津波観測計が設置されておらず、最も近い柏崎市鯨波の観測計の最大波が40cmだったことから、直江津の津波の高さは観測値では「40cmを上回る」とされている。しかし、直江津港には津波観測用ではないものの潮位の変化を観測するための検潮器が設置されており、津波の第1波で1m30cmの潮位上昇が確認されていたことがわかった。
県内の津波観測点は粟島(設置機関:海上保安庁)、佐渡市鷲崎(気象庁)、新潟市(国交省港湾局)、柏崎市鯨波(国土地理院)の4か所で、佐渡市鷲崎には電波式津波観測計と巨大津波観測計が、そのほかの3か所には検潮器が設置されている。また新潟西港の検潮所に巨大津波観測計がある。
県上越地域振興局直江津港湾事務所によると、直江津港の検潮所は、港の管理や工事を行う際の潮位変化を知ることなどを目的に設置されている。検潮所内の井戸に「浮き」を浮かべ、海水面の上下動を測定器で計測するフロート式検潮器で観測している。
能登半島地震では、直江津港には防波堤があるため、関川河口付近で津波の到達が確認されている午後4時35分から8分後の同4時43分、1m30cmの潮位の急上昇を観測した。
その後約1時間の間に、同港の検潮器が観測可能な最大値の1m50cmを超える潮位上昇が3回観測されているが、津波の第1波後の港内の波の揺れと第2波、3波が合わさって、港内の潮位が上昇した可能性もあるという。