「現代の名工」に上越市のあおき味噌社長、青木光達さん 県で100人目の受賞

食や工芸などさまざまな分野で卓越した技術を持つ人を表彰する厚生労働省の2023年度「現代の名工」に、新潟県から上越市三和区法花寺の「あおき味噌(みそ)」社長、青木光達さん(63)が選ばれた。県内での受賞は100人目。青木さんは「業界、“発酵のまち上越”を一層盛り上げていきたい」と意気込む。

「現代の名工」に選ばれた青木さん

現代の名工は、優れた技能の承継や技能者の確保、育成などを目的に、1967年から行われている表彰。本年度から障害がある技能者の部門が新設され、全国から22部門に150人が選ばれた。これまでの表彰者数は7096人となった。本年度、県内からの受賞は青木さん1人だった。

父親で創業者の實会長(99)の後を継ぎ、2代目社長を務める。3人きょうだいの長男で、家業を見て育つうちに自然と発酵、醸造に興味を持った。県立高田高校から東北大学農学部に進み、応用微生物学を専攻。卒業後は千葉県にある大手しょうゆメーカー、キッコーマンの研究所で8年勤務し、1991年に地元に戻って同社で一からみそ造りを学んだ。

当初は体調を崩した営業担当のおじに代わり、主に商談を任されていたが、取り引き先の要望を聞く中で、自ら商品開発を行うように。同社の醸造ノウハウに研究者としての知見を合わせ、全国味噌鑑評会では27回連続で入賞し、このうち7回は最高賞の農林水産大臣賞を受賞している。

仕込み終わったみそも日々状態を確認

「発酵食品は生き物。刻一刻と変化していく」と話す青木さん。こうじ造りの工程では昼夜を問わず数時間おきに状態を確認し、仕込みが終わってからも気は抜けず、60〜90日の醸造期間中も日々変わる気候条件に合わせた管理を徹底している。

大豆などの原材料もその年の気候や産地ごとで変動があり、「常に同じ品質になるよううまく調整し、出来上がった時が何よりうれしい」と喜びを語る。

原料の大豆を手にする青木さん

越後みその品質向上のほか、全国での技術講習など後進の育成、こうじを活用したみそだけにとどまらない商品作りも評価された。受賞に「技術者として一つの到達点ではあるが、これからのみそ業界を発展させる新たな出発点。良い製品作りに精進して、若手も大切に育て盛り立てていきたい」と力を込めた。

表彰式は11月13日に東京都で開かれる。

www.aokimiso.server-shared.com

関連記事

www.joetsutj.com