敬老の日の2023年9月18日、新潟県上越市の100歳敬老祝賀事業として、本年度中に100歳を迎える同市三和区法花寺の「あおき味噌(みそ)」会長、青木實さん(99)を中川幹太市長が訪問した。祝い状や記念品を受け取った青木さんは「家族がいなければこんなに生きられなかった。夢のよう」と笑顔を見せた。
青木さんは1924年(大正13年)1月、里五十公野村(現三和区)の地主の家系で4人きょうだいの長男として生まれた。薬学者を志し東京帝国大学医学部薬学科に入学するも、戦後の過酷な環境で肺結核に冒され中退した。
当時の最新医療で奇跡的に一命をとりとめ故郷に戻った。農地解放後の青木家復興に一念発起し、県産の米と大豆を生かしたみそ醸造業を1951年に創業。東京の百貨店などに販路を拡大させ、全国のみそ鑑評会では何度も最高賞を受賞する会社に育てた。
青木さんは「病気で学者になれなかったのは残念だったけれど、会社を立ち上げ、病弱で心配をかけたお袋に恩返しできてよかった」と振り返り、「どんな困難があっても乗り越えれば明るい将来がある」と語る。
1956年に妻の徹子さんと結婚し、3人の子供に恵まれた。徹子さんは14年前に他界し、現在は長男で同社社長の光達さん(63)夫妻と3人の孫と暮らしている。仕事は事務作業をこなすなど今も現役で、毎月5、6冊ほどの本を読むなど趣味も楽しんでいる。
ほぼ毎食みそ汁を飲むことが健康の秘訣(ひけつ)と言い、今春には99歳を記念したみそ「元気に長生き 白寿」も発売した。「たくさんの人にみそを食べてもらえるよう、事業をますます発展させたい」と話している。
青木さんと歓談した中川市長は「大病を乗り越えられた。これからも健康で長寿を続けてほしい」と声を掛けた。
同事業では、市が毎年100歳を迎える高齢者に対し、市と内閣総理大臣、県知事それぞれの祝い状と記念品を贈呈している。この日中川市長は大潟区和泉新田の竹内安代さん(99)も訪問した。
15日現在で、本年度の対象者は男性9人、女性87人の計96人で、市内の100歳以上の人数は206人、最高齢は109歳の女性となっている。