ほくほく線を運行する第3セクターの北越急行はこのほど、2023年10月1日から普通運賃と通勤定期を20%、通学定期は10%、それぞれ値上げすると発表した。7月4日付で北陸信越運輸局に申請した。コロナ禍からの利用者数の回復が7割程度にとどまっているほか、動力費などの高騰で経営環境が厳しさを増し、当初計画より前倒しで値上げに踏み切った。
同社の運賃の値上げは2018年12月以来2度目。初乗り運賃は40円増の210円となり、犀潟(上越市)―六日町(南魚沼市)間は1090円から220円増の1310円となる。通勤定期も20%値上げするほか、1997年の開業以来、消費税率アップに伴う運賃改定以外は据え置いていた通学定期も10%値上げする。
同社は2015年の北陸新幹線開業で“稼ぎ頭”の特急「はくたか」が廃止され、運賃収入が大幅に減り赤字経営が続いている。新幹線開業後の経営計画に基づき、2018年に通学定期を除いて10%の値上げを実施したが、コロナ禍による利用者減、動力費や材料費などの高騰で経営環境の厳しさが増大。経営計画では2028年と2044年に10%ずつとしていた運賃改定を前倒しせざるを得なくなった。将来の経営環境の悪化に備え、ピーク時には約130億円あった内部留保も十数年後には枯渇する状況という。
北越急行は「今後も経営努力を重ね、利用しやすい環境を作っていく。ご負担をお願いすることになるがご理解いただきたい」としている。