通達確認せず失業保険を20人に誤支給 一部対象に説明会など事後対応もずさん ハローワーク上越

ハローワーク上越(新潟県上越市)が雇用保険の失業等給付を誤って本来より多く支払っていたことが2023年6月12日までに分かった。対象者は約20人で過払い額は合計約450万円に上る。ミスは同所が通達などの確認を怠ったことが原因だが、返還を求める文書で不適切な表現をしたり、一部の人だけを対象に説明会を開いたりするなど、事後の対応もずさんで対象者から不満や困惑の声が上がっている。

ハローワーク上越

通達、注意メールとも確認怠る

失業等給付には新型コロナに伴う給付日数を60日延長する特例措置があり、本来2022年10月1日までに支給終了となる人が対象だったが、期限に気付かず支給を続けた。期限については新潟労働局から2022年4月1日付で通達があり、7月29日には担当課長あての注意喚起のメールがあったが、いずれも確認を怠っていたという。今年4月、厚労省から新潟労働局経由で調査の指示があり、誤支給が判明した。

多い人で50万円返金 失業中も

誤支給のあった約20人のうち、最も多い人で約50万円の返金を求められている。同所では分割での返金にも応じているが、未だ失業中の人もいる。ある対象者の返金額は約25万円で、最後に支給されたのは約半年前。「生活を切り詰めて、とりあえずは配偶者の年金から少しずつ返していくしかない」と話す。

一部の人にだけ訪問謝罪 電話連絡も要領得ず

4月上旬のミス発覚後、同所はすぐに対象者宅の訪問や電話連絡をしたが、不在などのケースもあり、結果的に人によって異なる対応となった。対象者の1人によると、4月に電話で「間違って支給したので納付書を送るから返金してほしい」と言われたものの、その後1か月以上何の連絡もなかったという。 また別の1人によると、着信があり電話をかけ直したが、対応した職員には話が通じず、その後折返しの電話連絡が来ることはなかったという。

文書に「事務連絡」「回収」 説明会全員には知らせず

ミス判明から1か月半が過ぎた5月18日付で、同所は誤支給を知らせ返金を求める文書を全員に送った。文書の右肩には「事務連絡」とあり、タイトルは「雇用保険失業等給付の回収について(おしらせ)」。誤支給された1人は「『事務連絡』とは組織内部の重要度の低い通知に使う文言ではないか。また自分たちで間違えておいて『回収』とは、ばかにしている。あまりに上から目線で誠意に欠ける」と対応に憤る。その後、同所は6月1日に説明会を開いたが、対象となる約20人のうち開催を求めるなどした3人以外には知らせなかった。出席した1人によると、個別対応ではなく、対象者全員が情報を共有できるよう説明会を開催するよう同所に要請していたという。

対象者「保険料負担の解決と処分を」

一部の対象者は失業等給付の支給期間中、国民健康保険や国民年金に加入していた。誤支給の60日間について、国民健康保険ではなく家族の社会保険の扶養に入っていた方が負担が少ないことから、遡って手続きできることを保証するか、本来より多く負担した分を支払ってほしいと求めている。

また、今回のミスとその事後対応がずさんだったとして、誤支給された人の中には、関係した職員の処分を求める声も強い。

ハローワーク「配慮足りず反省」

ハローワーク上越の刀根雅人所長は上越タウンジャーナルの取材に対し「全くこちら側のミスであり、誠に申し訳ない。文書などについても配慮が足りず、チェックも甘かった。反省している」と話している。