新潟県上越市三和区越柳で市の指定文化財「越柳の雨乞い地蔵」の解説板と案内板が設置され2016年7月17日、除幕式が行われた。同地区には、地蔵に向かって「雨を降らさないと池に放り込むぞ」と恫喝し、縄で縛り池に沈める雨乞いの儀式が伝えられている。除幕式の後には地蔵を背負うデモンストレーション=写真=も披露され、訪れた住民らが看板設置を喜んだ。
上越柳、下越柳の両町内会で話し合い、多くの市民に知ってもらい訪れてもらうことが地域の発展につながると、越柳自治会(大滝正博会長)が市の地域活動支援事業を利用して設置した。
雨ごいの儀式は、溜池の水が枯れるなどの際に行うもので、直近では22年前の1994年6月12日に実施しているという。地蔵は室町時代に作られた石仏とされ、江戸期に田を開いたときに地中より発見されたと伝えられる。儀式は、池のほとりにあるほこらから地蔵を引き出して雨ごいをした後、声を荒げて「雨を降らさないと池に放り込むぞ」と恫喝し、縄で縛った地蔵を池に沈める。頃合いを見て地蔵役が「分かったから元の場所に帰してくれ」と言うというと、引き上げる。
同地区では儀式とは別に毎年7月17日に雨ごい地蔵祭を実施している。この日は両町内会長が池のほとりにあるほこらに参拝。地蔵のいわれの説明した後、看板のお披露目を行った。上越柳の農家区長、川上正一さん(58)が背負い子で約40kgある地蔵を背負い、縄で縛って周囲を練り歩くデモンストレーションを行い集まった人々を湧かせた。
同自治会で案内看板設置に携わった江口晃さん(61)によると、地蔵は池の北側にある小丸山に安置されていたが、2007年の中越沖地震でほこらが倒壊したことを機に現在の池のほとりへと移動した。三和区には井ノ口にも同じ儀式をする雨ごい地蔵があることから、江口さんは「マップなど作成し、散策コースなどを作成できたら」と話していた。