東北電力が上越火力発電所の工事状況を公開 2023年6月運転開始

東北電力は2020年8月5日、23年6月の運転開始を目指して新潟県上越市八千浦に建設中の上越火力発電所1号機の工事状況を報道陣に公開した。場所はJERAジェラの火力発電所などがある直江津港荒浜ふ頭。発電所のシンボル的存在である煙突が組み上がり、東北電力上越火力発電所建設所の西村由明所長は「今のところ順調に進んでいる」と話した。

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同社にとって9か所目、最南端に位置する出力57.2万kWの火力発電所。2019年5月に着工し、同年7月から本格的な建設工事を開始。現在新型コロナウイルスの影響で一般公開ができないため、地域住民に進捗状況を伝えようと報道公開が行われた。

同発電所は環境負荷が少ない液化天然ガス(LNG)を燃料とし、ガスタービン発電と蒸気タービン発電を組み合わせた「ガスタービンコンバインドサイクル」の発電設備。同社と三菱日立パワーシステムズが共同開発した最新鋭のガスタービンを採用する初めての発電所となり、熱効率は世界最高水準の63%以上を目指している。

地盤改良などの土木工事を終え、今年4月から、煙突の設置や発電所本館建屋の新築、排熱回収ボイラーの据え付け工事を始めた。

煙突は地上高136m、直径約5.5m、総重量約750tで、16分割された部材を高さ約150mのクレーンで積み上げた。組み立ては完了し、塗装などの作業を進めており、今年10月に完成予定。発電機などを格納する発電所本館建屋は、鉄骨3階建てで、建築面積は4000平方m。現在鉄骨を組み立てている段階で、22年3月に完成予定。

煙突上部には、高田城址公園の桜色と上杉謙信の旗の紺色を合わせたラインがあしらわれている
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鉄骨を組み立て中の発電所本館建屋
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5日、建設現場では約350人が作業にあたっていた。新型コロナウイルス対策として、検温で37度以上だった場合は自宅待機とし、行動履歴の記録や「3密」となる飲み会の自粛などを求めているという。

西村所長は「7月20日時点で工事の進捗率は13.9%。計画通りに進んでいる。世界最高水準の熱効率で環境に配慮したプラントとして、世界に誇れる発電所の実現のためやっていきたい」と語った。

工事は来年度末までに完了し、22年4月から試運転を開始する予定。