新上越消防本部の基本設計まとまる 事業費は57億2000万円

上越地域消防事務組合は2017年26日、上越市藤野新田に建設する上越北消防署を統合した新消防本部の基本設計を全員協議会に示した。高機能な消防指令システムを導入し災害対応力を高めるほか、市民の見学コーナーや体験型訓練スペースを設けることで、地域の防災教育の発信拠点としての役割も担う。移転を含む全体の事業費は57億2000万円。運用開始は2020年3月末の予定。

上越北消防署を統合し藤野新田に建設される消防本部の完成予想図
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上越南署に併設されている現在の消防本部(北城町1)は、大規模災害などに対応する車両や部隊が増え収容能力が限界に達している。また上越北署(春日新田)は1976年の建設で老朽化が進んでいることから、新消防本部に統合する。

市下水道センター北側の市所有地約2万2300平方メートルの敷地に、5階建ての庁舎棟と3棟の訓練棟を建設する。災害対策の拠点となる高機能な指令室を備えた免震構造とし、災害でライフラインが途絶しても業務が行えるよう水道水の確保や非常用発電機を設置する。

庁舎棟1階は消防車両や資機材の収納庫、2階は隊員の仮眠室や市民が緊急車両を見学したり、防災について学んだりすることができるガラス張りのPRコーナーを設ける。3階は北署と多目的利用の会議室、4階は消防本部と司令室、5階は電気室や発電機室となる。敷地は、国交省が昨年5月に公表した洪水浸水想定区域に含まれているため、指令室など重要な機能や機器を高層階に配置する。

このほか訓練棟には、市民が濃煙体験や消火体験ができる体験型訓練スペースを設け、ヘリポートも整備する。出動時の経路を確保するため、関川堤防沿いに下水道センター敷地を南下して、謙信公大橋東詰の県道のT字路交差点に接続する通路を作る。

整備スケジュールは、本年度内に実施設計を行い本体工事に着手し、20年3月末の運用開始の予定。事業費は57億2000万円で、消防事務組合を構成する上越市と妙高市が合併特例債を活用して負担するほか、国の補助金などを充てる。

北署は2020年度に建物の解体工事を行い更地にするほか、現在の本部は南署の単独庁舎として利用する。