新潟県上越市長浜の田中酒造はこのほど、同市出身で「郵便の父」として知られる前島密(1835~1919)の写真をラベルにした「能鷹 純米酒 前島密ラベル」を発売した。郵便の父にふさわしく、レトロな赤い丸型ポストの化粧箱入り。ポストに入った日本酒という珍しさもあり、2019年7月26日の発売以降、評判は上々だ。
今年4月に92歳で亡くなった同社の田中弘邦前社長は、酒造業以外にも特定郵便局を経営していたことなどから、生前、前島を敬愛していた。このため、今年の前島没後100年に合わせ発売した。
ラベルのデザインは前島が肖像となっている1円切手を模したもので、市内在住の書家、石田順子さんが前島の名を揮ごうした。裏ラベルには前島の経歴や功績の紹介文も記してある。六角形の丸型ポストの箱は、馬場慶徳専務(51)が発案。郵便関連の冊子にも紹介され、全国から問い合わせがあるという。
中身の酒は、新潟県産の酒米、五百万石を使用し、精米比率60%の純米酒。すっきりとした辛口の味わいは、「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」という言葉を残した前島の強い信念をほうふつとさせる。
720ml入りで1500円(税別)、箱なしは1200円(同)。能鷹を取り扱う酒販店やフルサット(上越妙高駅西口)などの土産物店で販売している。馬場専務は「前島密は上越の偉人。帰省のお土産にぜひお買い求めいただければ」と話している。
田中酒造ホームページ http://www.noutaka.jp/