新潟県上越市は2015年7月30日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所での原子力災害を想定した避難計画案(初版)をまとめ、市議会災害対策特別委員会に示した。市内では原発から半径30km圏内に柿崎、吉川両区の全域と浦川原、大島、大潟の3区のそれぞれ一部が含まれる。圏内に住む約1万5600人の市民は、屋内退避を原則として避難の際は30km圏外に市が定めた4か所の避難経由所にいったん集まり、市内32か所の指定避難所に避難することになる。
国は、原発から半径30km圏内の自治体に避難計画の策定を求めており、県内では原発立地自治体以外での計画案策定は同市が初めて。
原発事故発生直後、原発から5km圏内に住む住民は放射性物質放出前に即時避難するが、5〜30km圏内の住民は原則として屋内退避し、放射性物質の放出後に放射線量のモニタリング結果にもとづき避難が判断される。避難の場合、30km圏内の上越市民約1万5600人は全員、30圏外の同市内の避難所に避難する。
同市の避難計画案は、県が策定した「広域避難マッチング」との整合性が図られており、5km圏内の柏崎市民は糸魚川市と妙高市に避難し、30km圏内の柏崎市民の一部約2万7000人は上越市内の避難所に避難してくる。
例えば上越市柿崎区に住む市民の場合、町内会ごとに指定された小学校などに自家用車などで集まり、その後避難経由所のくびき希望館(頸城区)に行き、そこから直江津東中やリージョンプラザ上越などの指定避難所へ行く。
同市は今回、避難計画案(初版)をまとめたものの、緊急時のモニタリングや放射線汚染の有無を検査するスクリーニング体制などの整備など県や国による今後の対応が必要な部分も多い。村山秀幸市長はこの日の記者会見で「課題はまだたくさんあるが一つ一つ整理していき、その都度市民にお知らせしていきたい」と説明した。
市では8月19日から30km圏内の4区と合併前上越市の2か所で住民説明会を開き意見を聞き、9月に避難計画を策定し、全戸配布する。