新潟県上越市の本町3丁目商店街振興組合はこのほど、同商店街を中心に創業100年以上の老舗商店に目印となる手作り絵看板を設置した。粟飴や下駄など創業時の商品を木で形にしたり、現在とは違う創業時の店名を記したりとユニークなものだ。
看板設置は同組合の「百年老舗通りプロジェクト」(宮越紀袮子世話人)が試験的に実施した。本町通りの本町3を中心としたエリアには創業426年の和菓子店「大杉屋惣兵衛」をはじめ、創業から100年以上の歴史がある老舗が10店以上ある。同プロジェクトは、本町6の高田世界館の「百年映画館」や仲町3の宇喜世の「百年料亭」などと連動した街なか回遊の活性化を目指している。
看板は木製で、スタンド型や壁掛け、イーゼルなどさまざま。文字の読めない人のために商品の形をそのまま看板にした江戸時代の絵看板を参考に、創業時の売り物や商売を組合でデザインし手作りした。製作が間に合った8店舗に設置している。
下駄を売っていた「スイングシューズおおしま」は大きなお多福に鼻緒を付け、飴屋だった「大杉屋惣兵衛」は粟飴の壺、「もちや菓子店」は杵と臼にした。昔は「理髪師秀紫軒」といい、髪結いの出張をしていた「ヘアーサロンウエノ」は櫛やコテなどの道具と古い着物の生地を組み合わせた。当初は旅籠屋だった「いわしや薬局」は三度笠と道中合羽、百貨店の前身の「勧商場」だったという土田洋服店はかつて販売していたかんざしや櫛がモチーフとなっている。
あわせて「百年老舗通り」の木製札も作製。22日までの観桜会期間中は、薬味箪笥や御用看板、古文書、販促用の暦といった老舗ならでは古い商売道具や写真なども店内に展示している。
同組合の大嶋喜久雄理事長は「看板で歴史と特色のある商店街ということを知ってもらい、街を歩いてほしい」と話している。