新潟県上越市は若者の定住を図ろうと、市内に居住しながら市外や県外の大学などに通う学生を対象にした通学定期の奨学金を創設する。月額5万円を上限に無利子で貸し付けるもので、卒業後も市内に住むなど一定の条件を満たせば返済額の3分の2が免除される。市議会3月定例会で承認されれば、4月1日から利用できる。
人口減少を背景にした若者の定住促進策の一つで、高校卒業後も上越市に住んでもらい地元就職につなげようと、2億円の基金を造成し運用する。
昨年3月の北陸新幹線開業で、同市から長野市や富山市などへの通学時間が大きく短縮され、同市の調べでは、上越市から新幹線など公共交通機関を使って1時間以内で通学できる学校に約80人の学生が通っているという。長野市へ通う学生も多く、北陸新幹線の上越妙高─長野間の1か月の通学定期は4万9540円。長野市へ通学する場合は全額が奨学金でまかなえることになる。
奨学金の対象は同市に住み市外の大学、大学院、高等専門学校、専修学校に在籍する30歳未満の人。定期の合計額の範囲内で奨学金として月額5万円を上限に貸し付ける。所得制限などはない。
卒業後、上越市に住み、同市か隣接市町村の事業所に就職した場合は、貸付額の3分の2が免除される。
同市では「高校卒業後、市外、県外に出ていく若者が多いが、若者が当市から通って卒業後も当市に住み続けてもらいたい」としている。