新潟県上越市は、昨冬の大雪災害対応の検証を踏まえた新たな対応策を発表した。市の除雪車による作業が間に合わない場合に、町内会などが行った市道の除雪作業に最大5万円を支給する。また、「一斉雪下ろし」は一斉に行わず分散・段階的な実施に見直す。
町内会に報償金5万円
導入する町内会などへの報償制度は、24時間降雪量が50cm以上などの異常降雪時に、1か所当たり30m以上の市道の除雪をした事前登録の町内会(組、班も可)や自主防災組織が対象。市に大雪災害対策本部が設置され、異常降雪で業者による除雪が困難となった場合に、市の依頼を受けて除雪をした町内会などに燃料費や労務費などとして最大5万円を支給する。
道路除雪が行なわれず雪に埋もれた市道(2021年1月、上越市幸町)
昨冬の記録的大雪受け検証作業
今年1月の記録的大雪では、1月8日の24時間降雪量が103cmを記録。除雪業者は幹線道路の除雪に追われ、住宅地の生活道路は数日間除雪が行なわれなかった。市によると、住民が自主的に市道を除雪し交通を確保した所が86か所あり、助成を求める声が上がっていた。これを受けて市が大雪災害の検証を行い、今回新たな対策を含む最終報告をまとめた。
「一斉雪下ろし」は分散実施に
雁木や屋根などに積もった雪を道路に一斉に落として重機で排雪する高田地区などの一斉雪下ろしは、早期の実施や作業員の確保、広範囲の通行規制回避のため、屋根雪を下ろす日を土日曜に限らず平日にも行う分散・段階実施とする。エリアを区切って屋根雪を下ろすため、期間中でも通行できる道路が増えるという。
「道路除雪管理システム」もサーバー強化
このほか、市のホームページで稼働中の除雪車の位置が分かる「道路除雪管理システム」はアクセスが集中し一時的に閲覧できない状態となったため、サーバーを強化した。県道との除雪路線の相互乗り入れを拡充し作業の効率化を図る。
2021年11月4日に記者会見した八木智学理事は「昨冬に市民から寄せられた苦情を解消できるシステムを構築した。ノウハウを重ねながら市民生活を守っていきたい」と述べた。
▼上越市がまとめた大雪の検証結果
PDFファイル “令和3年大雪災害対応の検証(上越市)” (8.2 MB)
▼今冬の除雪計画
PDFファイル “令和3年度 冬期道路交通確保除雪計画(上越市)” (1.3 MB)