ドローンの国家資格 上越市の教習所でも講習スタート  

物流や農業をはじめさまざまな分野での活用が期待されているドローンの操縦について、2022年12月の航空法改正でそれまでの民間資格に加えて新たに国家資格が創設された。これを受け、新潟県上越市内のドローンスクールでも国家資格の取得をサポートする講習が始まっている。

ドローン操縦の国家資格創設

昨年の法改正では、住宅地など人がいる場所でドローンを自動飛行することができる「レベル4飛行」を解禁すると同時に、機体認証と操縦のための国家資格(無人航空機操縦者技能証明制度)が導入された。レベル4飛行を行うには国家資格の「一等無人航空機操縦士」の取得が必須となった。また、人がいない場所に限りドローンを飛行させることができる「二等無人航空機操縦士」も国家資格として創設された。いずれも自動車の免許のように学科と実技の試験がある。ドローン教習所の講習を受けなくても国家試験は受験可能だが、登録講習機関として国の認定を受けた教習所で講習を修了すると実地試験が免除される。教習所の受講料は、初めて操縦をする初学者が二等無人航空機操縦士を目指す場合、30万円程度が相場のようだ。

「新潟マルチローター教習所」4人が講習修了

上越市稲田3の丸山昌治商店(丸山昌吉取締役)は、国の認定を受けた登録講習機関、一般社団法人農林水産航空協会の「新潟マルチローター教習所」を運営。3月中旬から国家資格の講習を始めた。同教習所の講習は、二等無人航空機操縦士の基本(目視内飛行、昼間飛行、最大離陸重量25kg未満)を行っている。

新潟マルチローター教習所の国家資格講習(同教習所提供)

米穀や肥料、農薬、農業資材などを取り扱う同社は、2019年から農業用ドローンの機体販売と農業用ドローンの講習を開始。これまでに農業者を中心に100人を超える人が民間資格の講習を修了した。新たにスタートした国家資格講習は、同教習所の場合、初学者が学科と実地合わせて20時間(5日間)、民間資格保持者などの経験者は6時間(2日間)を実施する。3月末までに4人が講習を修了しており、今後国家試験に臨む。

講師の丸山昌幸さん(27)は「国家資格の受講生は20〜30代が多く、(同教習所では)農業関連だけでなく、建設、建築、測量、高所点検などにも対象が広がっている。将来を見越した人材育成としている法人もあり、需要は大きい」と話した。今後は一等資格の講習実施も検討していくという。

「JULC新潟教習所」説明会に80人

ドローン販売や空撮業務などを行っている同市藤野新田のフォト・オフィスオーツー(大坪幸信代表)は、登録講習機関である日本無人航空機免許センターの「JULC新潟教習所」を開校し、一等と二等の国家資格取得に向けた講習を始める。

フォト・オフィスオーツーは2017年、ドローン事業を手掛ける「セキド」と提携し、二つの民間資格が取得できるドローンスクール「セキド新潟上越」として業務をスタートし、今春からJULCにも参画した。民間資格の講習会にはこれまで500人以上が参加してきた。このほど新たに開催した国家資格講習の説明会には、民間資格を取得した個人や企業から約80人が参加し、関心の高さをうかがわせた。

JULC新潟教習所 についての説明会

大坪代表は「ドローンは空撮、災害時、輸送など幅広く無限に活用できる。資格取得に向け、気軽に問い合わせてほしい」と話している。

上越自動車学校も登録講習機関に

このほか市内では、山屋敷町の「新潟上越ドローンスクール校」を運営する上越自動車学校が、登録講習機関の認定を受けており、一等と二等の講習開始に向けて準備中だ。