上越市立水族博物館「うみがたり」で2023年3月、ゴマフアザラシの雌の赤ちゃんが生まれた。同館でのアザラシの繁殖は初めて。現在はバックヤードで母親とともに過ごしており、モニターを通して生後特有のクリーム色の毛に覆われた愛らしい姿を見せている。
ゴマフアザラシの赤ちゃんは3月11日午前10時45分頃、体重11.2kg、体長81cmで誕生。21日時点で20.7kgまで成長した。
父はアラシ(12)、母はナノハ(13)。2頭は種の保存のために水族館同士が生き物を貸し借りして繁殖を進めるブリーディングローン制度で、2021年11月に名古屋港水族館(愛知県名古屋市)からやって来た。ゴマフアザラシの繁殖期は春で、妊娠期間は約1年とされている。2頭の間では昨年2月下旬に繁殖行動が確認され、その後の健診でも妊娠の兆候は見られたが、秋頃のエコー検査で確実となった。
現在はバックヤードで母子ともに健康に過ごしている。授乳期間が終わる生後2〜3週間で毛は抜けて大人と同じゴマ模様になり、親離れする。一般公開する時期は未定だが、泳ぎや餌を食べる練習、他のアザラシと対面させるなど環境に慣らしてから「ふれんどプール」でデビューする。同館スタッフによると、既にプールに入るなど好奇心旺盛だという。
3階ロビーにモニターが設置された23日には、訪れた人が足を止め、赤ちゃんが水に顔をつけて遊んだり、寝たりしている様子に目を細めていた。長野市から家族で訪れた男児(5)は「赤ちゃんのアザラシを見るのは初めて。ふわふわでかわいい」と笑顔だった。
同館では「子の成長する力強さや、ナノハの子に対する愛情などを感じ、スタッフ一同全力でサポートしている。今しか見られない姿をあたたかく見守ってもらえれば」と話している。