燃料として消費されることの多い新潟県上越市産スギに新たな価値を付けようと、上越市内の事業者でつくる団体「上越Sugiぷろじぇくと」は、薄く削り出したスギ材を使って造花を制作している。市内の学校などで活動のPRにも取り組んでおり、市立高田西小学校では卒業式が行われた2023年3月23日、活動について学んだ6年生60人が、自らラッピングしたスギの造花を保護者にプレゼントした。
同団体は、自動車販売業などの萬事(よろずごと)まさやサービス(名立区)代表の池田千尋さん(36)が企画、伐採も手掛けるひいらぎ杢工(三和区)代表の横尾俊吾さん(31)が材料提供、「RianK(リアンク)」の作家名で活動する藤井加奈子さんが制作を担当し、3人で今年3月から活動を始めた。
スギの造花は、かんなで薄く削ったスギ材を、花びらに見立てて丸めたり折ったりしながら茎となるワイヤーに巻きつけたもの。木目や色が一つ一つ異なり、厚さによっても雰囲気が変わる繊細な作品だ。
3人は16日、高田西小で6年生に授業を行い、上越市産スギの約6割が燃料として使われており、次世代に形として残すため活動していることなどを紹介。児童は保護者に贈る花束のラッピング作業を行った。女子児童(12)は「本物の花みたいで奇麗。(スギ材は)固くてねじると割れちゃうので、自分では作れなさそう。今までの感謝の気持ちを込めてお母さんにあげたい」と話した。
23日の卒業式後、児童が保護者に感謝の気持ちなどをつづった手紙とともに花束を手渡した。保護者の1人は「木の香りがする素敵な花束。枯れずに記念に残るのでうれしい」とほほ笑んだ。
上越Sugiぷろじぇくとの池田さんは、「今ある資源も、見方を変えたら次の世代に残していけることを発信していきたい」と話し、今後は高校や介護施設などにも活動を広げていくという。スギの造花は販売もしている。問い合わせは事務局の池田さんcontact@joetsu-sugipro.com。
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