カラフルな骨格浮かび上がる「透明標本」展 うみがたりで21日から

生き物の皮や肉を透明化し、骨を鮮やかに染色した「透明標本」を手掛ける神奈川県在住の作家、冨田伊織さん(39)による特別展「生きものがかたる造形美〜冨田伊織 新世界『透明標本』より〜」が2023年3月21日から、新潟県上越市立水族博物館「うみがたり」で開かれる。骨格がカラフルに浮かび上がった身近な海の生き物の標本約300点が、幻想的にライトアップされ飾られている。

うみがたりで展示されている冨田さんの透明標本

透明標本は、解剖が難しい小さな生き物の骨格を観察するため、薬品を使って肉や内蔵を透明化し、硬骨を赤紫色、軟骨を青色に染めたもの。学術的に使用されることはもちろん、幻想的な色合いと生き物の造形美を感じる見た目から、アートとしても親しまれている。

冨田さんは埼玉県出身で、北里大学水産学部水産生物科学科卒。在学時に目にした透明標本に魅せられ、卒業後本格的に制作を始めた。作家としての活動は今年で15年になり、展示会や講演会、写真集の出版など活躍の場を広げている。

展示の解説をする冨田さん

特別展は同館が6月に開館5周年を迎えるのに合わせ、プレイベントとして企画。同館で生体展示されている生き物の標本を中心に飾った。

メイン会場の1階催事ホールでは、透明標本の作り方の解説をはじめ、アジやカワハギといった硬骨魚類、サメやエイのような軟骨魚類など、種類ごとに骨の構造の違いなどを観察できる。また館内の水槽横にも並べられ、生体と見比べることもできる。

鮮やかな色合いが園児たちの人気を集めた

開催に先駆けて20日には、地元のなおえつ保育園の年長児35人が展示を見学。タツノオトシゴがお気に入りという女児(6)は「色が奇麗で楽しい。骨の部分に色が付いていて新しかった」とほほ笑んだ。

ヒレを立てるなど生きている時の姿に近付けることがこだわりという冨田さんは、「生きている状態が何よりも美しいけれど、標本から見える美しさもある。上や横など色々な角度から見て、普段見ている生き物に美しい造りがあることを知ってほしい」と話している。

会期は5月21日まで。ミュージアムショップではポストカードやクリアファイルなど約60点のグッズがそろう。オリジナルステッカー付きの前売り券の販売もあり、詳細は同館ホームページで確認できる。