追悼の祈り込め上越市の高田別院で「勿忘の鐘」 東日本大震災から12年

東日本大震災から12年を迎えた2023年3月11日、震災を心に刻むため、地震発生時刻に合わせて鐘を打ち鳴らす「勿忘(わすれな)の鐘」が、新潟県上越市寺町2の高田別院で行われた。犠牲者を悼む鐘の音が響き渡る中、参加した僧侶や地域住民ら約30人が手を合わせ、被災地に思いを馳せた。

鐘の音が響く中黙とうを捧げる参加者

勿忘の鐘は、津波で全壊した岩手県陸前高田市の本称寺で震災翌年の2012年に始まった。その後取り組みが全国の寺院に広まり、高田別院では2014年に初めて実施。一時中断していたが、震災から10年の節目となる2021年から、被災地の子供たちの支援を行っている真宗大谷派高田教区の「キッズふくしま実行委員会」の主催で毎年行っている。

地震が発生した午後2時46分に最初の鐘を鳴らし、全員で黙とうを捧げた後、参加者は鐘楼に上がって1人ずつ鐘を突いていった。昨年に続き2度目の参加という上越市南本町2の男性(76)は「震災の日に何か一緒にできることをしたいと思って来た。鐘の音に当時の被災地の映像などを思い出した」と話していた。

1人1回ずつ鐘を打ち鳴らした

同委員会の副実行委員長で、妙高市関川の浄善寺副住職、関隆徳さん(32)は「亡くなられた方がいらっしゃる中で、仏教でいうと今年は13回忌の節目。被災地の方からはまだまだ悩みや苦しみの声がある。寄り添い続け活動していきたい」と語った。

勿忘の鐘は、妙高市の新井別院など、同教区内の他の寺院でも行われた。