雪原にジーンズの紺色広がる 妙高市の「マル二」で冬季恒例の雪さらし

新潟県妙高市姫川原のジーンズショップ「マルニ新井本店」で2023年1月30日、生地の色や質感などの味わいを深めるジーンズの雪さらし作業が始まった。真っ白に積もった雪と深い紺色のジーンズのコントラストが美しく、豪雪地帯ならではの製法でオリジナリティーを加えている。

マルニ新井本店で始まったジーンズの雪さらし

同店を経営するマルニ西脇(西脇謙吾社長)は、輸入ジーンズの専門店として1972年に創業し、自社オリジナル製品の開発を始めて27年になる。天然藍で染め上げた日本製にこだわっており、代表ブランドの「毘沙門天」シリーズは、郷土の戦国武将、上杉謙信にちなみ「毘」の字が刻印されている。

妙高ならではの風土を製品に生かしたいと、雪さらしは2017年から行っている。西脇社長(54)が妙高特産の「かんずり」や小千谷市の「小千谷縮(ちぢみ)」の製法から着想した。

地下水にジーンズを浸す洗い加工

雪さらし作業は、のりを落とす洗い加工の工程で実施。同店敷地内に湧く地下水に1時間浸したジーンズを、雪の上で1時間さらし、さらに水洗いをした後に天日干しする。地下水は妙高山の雪解け水で、水道水の7倍もの鉄分を含んでおり、藍の成分と反応して色に深みが増すほか、雪の上で日に当てることで生地に凹凸感が生まれ、独特の風合いに仕上がるという。

右が加工前。左の雪さらし後とは色や質感に違いが出る

本格的な作業の開始となった同日午前には、西脇社長と従業員で10本を雪にさらした。冷たい地下水に浸したジーンズを素手で取り出し、手際よく雪の上に広げていった。

西脇社長は「雪は厄介者扱いされるが、米や野菜にとっても重要な資源。この地ならではの風土をどれだけ製品に取り入れられるか、ジーンズの作り方も工夫して進化させていきたい」と話している。

作業は天候を見ながら3月中旬まで行われ、約500本を雪にさらす予定。加工が終わったものは2月3日から順次店頭に並ぶほか、オンラインショップでも購入できる。毘沙門天シリーズは1本3万3000円。

ジーンズや衣料品が並ぶ店内

営業時間は午前10時から午後6時まで。水曜定休で、2月中は火曜も定休。問い合わせは0255-72-6104