キネ旬ベストテンにみる上越市の文化度は?

昨年に引き続き、上映された映画で上越の文化度を図ろうという試みである。映画雑誌で最も歴史と権威があるキネマ旬報の2010年のベストテンに入った映画が、上越市でどのくらい上映されたか調べてみたところ、上映率(総合)は35%で、2009年から10ポイント低下した。

映画は脚本、撮影、美術、録音、音楽、照明などの総合芸術と言われる。映画館側の経営方針も関係するが、基本的にはその地域の人が最も観たいと思われる映画を上映するはずだ。つまり、どんな映画がその地域で上映されているかによって、文化度が見えてくる。

ところで、2011年1月に恵比寿ガーデンシネマ(東京都渋谷区)が閉館するなど、上質な映画を上映するミニシアターの閉館が全国的に相次いでいる。映画にCGや3Dがどんどん採り入れられたこともあり、視覚効果の高いものや、「泣ける」「笑える」などの基準で映画を見る若者が増えているからとも言われる。世界で高い評価を得ている映画が日本で公開されなくなる傾向はますます高まってきそうだ。

映画専門誌のベストテンと興行ランキングが一致しないのは例年の通りで、2010年の日本映画ベストテンの2位の「告白」が興業7位、外国映画では10位の「インセプション」が興業6位に入っているだけである。最近は宣伝費をかけないとヒットしないため、ますます映画の質と興行成績がかけ離れる傾向にある。

キネマ旬報の2010年のベストテンと、上越市内で上映された映画は次の通り。

日本映画の第1位「悪人」

【日本映画ベストテン】
1位 悪人
2位 告白
3位 ヘヴンズ ストーリー
4位 十三人の刺客
5位 川の底からこんにちは
6位 キャタピラー
7位 必死剣鳥刺し
8位 ヒーローショー
9位 海炭市叙景
10位 ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う

このうち、上越で上映されたのは「告白」(6/5~7/30)、「必死剣鳥刺し」(7/10~8/13)、「十三人の刺客」(9/25~11/19)の3本で、そのうち2本が時代劇。上映率は30%で、前年の50%から20ポイント低下した。9位の「海炭市叙景」は、上越映画鑑賞会が4月3日に上映することが決まったので、最終的な上映率は40%になる。

外国映画の第1位「息もできない」(韓国)

【外国映画ベストテン】
1位 息もできない
2位 インビクタス/負けざる者たち
3位 第9地区
4位 白いリボン
5位 ハート・ロッカー
6位 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
7位 クレイジー・ハート
8位 冬の小鳥
9位 スプリング・フィーバー
10位 インセプション

このうち、上越で上映されたのは「インビクタス/負けざる者たち」(2/5~3/26)、「ハート・ロッカー」(5/22~6/18)「インセプション」(7/17~9/17)の3本。上映率は30%で、前年の40%から10ポイント低下した。

なお、文化映画ベストテンで第2位となった「月あかりの下で~ある定時制高校の記憶~」が、馬場秀幸法律事務所(上越市大手町)主催で11月27日~12月1日に高田世界館で上映されたことが特筆される。