「タクシーは地域を守る」 乗務員不足で上越市内のタクシー会社4社が合同就職セミナー

人手不足が続くタクシー乗務員の確保に向け、新潟県上越市のタクシー会社4社が参加した合同就職セミナーが2022年11月21日、同市土橋の市民プラザで開かれた。参加者は2人にとどまったが、現役乗務員の体験談や車両見学などが行われ、参加者は「仕事のイメージづくりになった」などと話した。

車両や機器の操作方法などを乗務員が説明

セミナーは県ハイヤー・タクシー協会が企画し、来年2月まで県内6か所で地元のタクシー協会などと協力して開催する。県協会によると、県内でタクシー乗務員の運転者証の交付を受けている人は今年10月末現在で3069人で、1年8か月前の2021年3月末から362人減少した。高齢化に加え、利用客の減少などのコロナ禍が退職者増加に拍車をかけた。上越市内では今年9月末現在299人で、上越市ハイヤー協会によると各社、乗務員定員の8割程度で業務を行っているという。

セミナーであいさつした同市ハイヤー協会の牧野章一会長(アイエムタクシー社長)は「人口減少で鉄道やバスが廃止され、公共交通としてのタクシーの機動力が注目されている。地域を守り、お客様から感謝される仕事だ。力を貸してほしい」と呼び掛けた。

現役乗務員が体験談などを披露

現役乗務員は「仕事に毎日変化があり、待機時間は自分なりに時間の使い方を考えている。長年続けてこられたのはお客様の『ありがとう』の言葉」とか、子育てをしながら勤務する女性乗務員は「外に出れば個人ワークで、学校行事などでも柔軟に休みが取れる」など、乗務員の実状を紹介した。

また一般的なタクシー車両のほか、豪華な内装の高級ミニバン車、感染症や車椅子に対応した車などの車両見学も行われ、乗務員が熱心に機器の操作方法などを説明していた。

転職を考えているという、上越市の会社員の男性(48)は「こんなにきめ細かく説明してもらえると思わなかった。(交通弱者の)山間部の人など生活に困っている人の手助けができればいいなと感じた」と前向きに話していた。

今後のセミナーについての問い合わせは新潟県ハイヤー・タクシー協会まで。