12月運転開始に向け最終調整 東北電力上越火力発電所が内部公開

東北電力は2022年10月27日、今年12月の営業運転開始を目指して新潟県上越市八千浦に建設中の上越火力発電所1号機について、報道陣に工事状況を公開した。設備工事を終え今年3月から試運転を行っており、20日時点の工事進ちょく率は98.4%と順調に進んでいる。

本館建屋に設置された蒸気タービン、発電機、ガスタービン

同発電所は、同社にとって9か所目、最南端に位置し、出力は一般家庭約80万世帯分の使用電力量に相当する57.2万kw。環境負荷が少ないLNG(液化天然ガス)を燃料に、同社と三菱日立パワーシステムズ(当時)が共同開発した最新鋭のガスタービンを採用。熱効率は世界最高水準の63%以上を目指している。

2019年5月の着工後、同年7月から本格的な建築工事に着手した。2020年10月に地上高136mの煙突の組み立てを終え、2021年5月には本館建屋内に主要機器のガスタービン、蒸気タービン、発電機を設置。2022年3月からの試運転では段階的に出力を上げながら各種試験を行い、同年5月に出力100%に到達した。現在は試運転で設備の試験や調整を行うほか、発電所構内の緑化工事や道路整備などを進めている。

中央制御室で試運転の操作や調整などを行う当直員ら

この日公開された試運転では、中央制御室で当直員がモニターの画面を切り替えながら運転監視し、ポンプの切り替え操作などを実施した。

同発電所建設所の西村由明所長は「(採用するガスタービンは)経済性、環境性に優れるだけでなく、運用性も高いため需要変動に応じた運転が可能になり、電力の安定供給に貢献できる」と強みを話し、「試運転も最終の調整段階に入っている。電力需要が厳しくなる12月までにしっかりとした発電設備を作っていく」と語った。

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