築150年の雁木町家がピアノのある多目的スペースに 上越市仲町2「もと山静堂」26日開設

上越市仲町2の雁木通りにある築約150年の町家が2022年10月26日、多目的スペース「もと山静堂」としてオープンする。かつて表具店「山静堂」だった町家を改修し、ドイツ製の古い高級ピアノも設置。音楽や蔵書の美術書を楽しんだり、住民が集う場として使用したりと、さまざまな利用が見込まれる。

ピアノが置かれた「もと山静堂」

開設するのは、東京都出身で隣りに住む川合由美子さん(67)。日本画家の父、清さんの新潟大学高田分校芸能学科赴任に伴って4歳から14歳まで高田で過ごしたことがあり、2016年に住まいを上越市に移した。もと山静堂は、隣人として住人と親しくしていたことから空き家となった際に購入し、改修した。

建物は大工の自宅として建てられ、のちに表具店となった。町家ならではの吹き抜けや表2階と裏2階をつなぐ渡り廊下などがある。川合さんは「使えるものはなるべく使いたい」と、表装に使われていた分厚い作業板をキッチンカウンターや茶だんすと組み合わせたテーブルに利用。げた箱や長火鉢、和だんす、建具などもそのまま使ったり、少し手を加えたりして使っている。

表装の作業板と茶だんすを再利用したテーブルや美術書が並ぶ食堂。奥はカウンターキッチン

父、清さんの日本画や「山静堂」の屋号の書を飾った吹き抜けの間

天井が高い吹き抜けの間は板張りにして父、清さんの日本画などを飾り、通りに面した一室には、スタインウェイの前身となったドイツの伝統ピアノブランド「グロトリアン・シュタインヴェーク」のグランドピアノを置いた。ピアノは昭和初期に日本に移り住んだドイツ人が使っていたものだという。清さんの蔵書の美術書も並ぶ。2階の和室2室も利用可能。車椅子で利用できるトイレもあり、エアコンも設置した。

「(繁華街のある)仲町といっても外れにあるので、とても静か。町を歩いて訪れ、ほっとくつろいでもらいたいし、近隣の皆さんが集う場になれば。カフェやギャラリーなどいろいろな使い方があると思う」と語った。

利用料は定めず、使い方によって応相談。当面は利用予約やイベント開催時に開館する。ホームページはこちら

こけら落としイベントとして26日午後7時から、スコットランドやアイルランドの伝統音楽のミニ演奏会を開く=ちらし=。出演は守安功、雅子夫妻。スコッチやアイリッシュのウイスキー、ビール、ソフトドリンクなどを味わいながら、たて笛や小型アコーディオンなどの古楽器の演奏を楽しむ。前売り券2000円でドリンク代は別。

川合さんは本町3の高田まちかど交流館で定期的にバロック音楽のコンサートを主宰している。25日午後7時から守安夫妻が出演する「英国と愛蘭土と欧州の『音楽の旅』」を開く。前売り券は3000円で当日は500円増し。学生は2000円。詳細はこちら

もと山静堂、コンサートいずれも問い合わせは川合さん090-3573-8731

「もと山静堂」の場所