ノーベル賞 妙高市、高田北城高出身の長谷川氏受賞ならず 母校や市役所で見守る

ノーベル生理学・医学賞の発表が2022年10月3日あり、新潟県妙高市出身で難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の研究で受賞が期待された東京都医学総合研究所脳・神経科学研究分野の長谷川成人分野長(61)の受賞はならなかった。出身地の妙高市役所と母校の県立高田北城高校(上越市)では関係者や生徒らが集まり、インターネット中継を見守った。

高田北城高でノーベル生理学・医学賞発表のネット中継を見守る生徒ら

長谷川さんが第31期生の高田北城高では、多目的室に生徒や教職員、同窓会関係者ら約60人が集まり、パブリックビューイングを実施。クラッカーや横断幕を用意し、午後6時半から固唾(かたず)をのんでネット中継を見守ったが、受賞はならなかった。

保坂哲校長は集まった生徒に「ノーベル賞の有力な候補として名前が挙がることは、長谷川先生の偉業を世界中が注目していることに間違いない。結果は残念だったけれど、素晴らしい大先輩がいるということ。在校生としてエールを送っていこう」と呼びかけると、会場からは拍手が起きた。

2年生の男子生徒(17)は「先輩がノーベル賞候補と聞いて驚き、テンションが上がった。そういう先輩がいるということを心の支えにしていきたい」と話した。

長谷川成人さん(東京都医学総合研究所提供)

また妙高市役所では入村明市長や川上晃教育長をはじめ、職員25人が会議室でインターネット中継を視聴した。入村市長は「地元として非常に期待していた。世界を相手に名前が出ることは素晴らしいこと。まだ若い。地域に勇気と自信を与えてくれることに期待する」と話した。

長谷川さんと新井中、高田北城高の同級生で市建設課の渡部雅一参事(61)は「(長谷川さんの)報道を見てから卒業アルバムを見返した。卒業後、付き合いはないが、高校の通学で電車を利用していた時に会話をしていた。今思えば人と群れるより、我が道を行くタイプだった。私達同級生の希望の星。まだまだチャンスはある」と語った。

妙高市役所の会議室で発表を待つ入村市長と職員ら

同研究所によると、長谷川さんは1961年妙高市生まれで、1979年県立高田北城高卒。1984年に富山大学理学部を卒業後、筑波大学大学院修士課程修了。大手生活用品メーカーのライオンに勤務後、東京大学医学部、イギリスのMRC分子生物学研究所などを経て、2001年に東京都精神医学総合研究所(現都医学研)分子神経生物部門長に就任。2020年より現職。専門分野は神経病理生化学で医学博士。

長谷川さんは、全身の筋肉が徐々に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症に関わるタンパク質を発見し、2006年に論文を発表。米情報会社クラリベイト・アナリティクスが先月発表した、論文の引用回数などから将来ノーベル賞を受賞する可能性が高い研究者20人に選ばれていた。

ノーベル賞の日本人受賞者は外国籍を取得した人を含め昨年まで28人で、新潟県出身者はいない。

▽東京都医学総合研究所 https://www.igakuken.or.jp