電車内の不審者に備え 県警とJR東日本が列車走らせ初の訓練

2021年に相次いだ電車内での刺傷事件などを受け、新潟県警本部鉄道警察隊と上越警察署は2022年9月22日、JR東日本新潟支社と合同の不審者対応訓練を上越市柿崎区柿崎の柿崎駅で行った。走行中の列車内に刃物を持った不審者がいるという想定で、通報から乗客の避難誘導、身柄確保などの連携を確認した。同支社が実際に列車を走らせて訓練するのは県内初。

柿崎駅ホームで刃物を持った不審者を制圧する警察官

訓練は2018年の東海道新幹線や、2021年の小田急線、京王線の電車内で、乗客が刃物で切りつけられるなどした事件の発生を受け、警察と鉄道会社が全国的に取り組んでいる。この日は信越本線の柿崎と長岡の2駅で行われた。

想定は走行中の普通列車で、刃物と可燃性の液体を持った不審者が暴れているというもの。JR社員は輸送指令を通した状況確認や通報、駅にいる客の避難誘導など初動を確認。列車が駅に到着すると、避難する乗客の後を追って降車した不審者を、駆け付けた警察官がさすまたや警棒などを使って取り押さえた。

さすまたや警棒などを使って不審者を取り押さえた

訓練後にはさすまたの有効的な使い方の講習も行われた。長岡駅の大関久章駅長は「今日の訓練も含めて対応能力を向上させて、実際に起きた際には焦らずに対応していきたい」と話した。

同隊の水上英俊隊長は「来年にはG7サミットの関係閣僚会合が新潟市で開催されるので、引き続き鉄道関連施設の安全確保、犯罪の未然防止に努めたい」と話し、事件が起きた際には「落ち着いて乗務員の指示に従って、異常時には躊躇(ちゅうちょ)なく非常通報ボタンを押し、なるべく遠くに逃げることが大事」と呼び掛けた。