「地元の想い」は置いてきぼり!? よしかわ杜氏の郷民営化 上越市が譲渡先公募開始 地域協は選定基準変更求め意見書

厳しい経営が続く新潟県上越市の第3セクターの酒蔵「よしかわ杜氏の郷」(吉川区)の民間売却で2022年7月11日(月)夜、吉川区地域協議会は市が示している譲渡先企業の選定基準の変更を求める意見書の提出を決めた。8日(金)には協議会会長が市側に基準変更を求めており、公募開始前に議論するため緊急に会議を招集したが、市はその日の日中に公募を開始した。委員からは市の姿勢を疑問視する声が相次いだ=写真=

同協議会では選定基準が公表される前の5月、酒造りの文化と歴史などを踏まえて吉川区住民の思いを尊重するよう求める意見書を提出しており、市側は中川幹太市長名で「設立当初の目的、吉川区住民の想いを尊重する」と回答している。

市は売却先公募の具体的な内容を6月に公表した。国内に本社がある企業を対象とした上で、同区内や市内の企業が地域性で優位となる評価基準を設けた。6月下旬、株主総会と地域住民への説明会を開いた。

同協議会は、まず地元吉川区の企業を対象に公募し、段階的に対象を拡大するよう求めており、山岸晃一会長は8日(金)午前に市役所を訪問し、担当課長らに意向を伝えていた。しかし、市は8日(金)午後にはホームページに公募内容を掲載し、11日(月)から公募を開始した。

11日の協議会では山岸会長が経緯を説明し、委員全員の見解を求めた。「『住民の想いを尊重する』という(市長の)回答と、市の今回の対応はすれ違っている」「地域の熱い想いに対して市は大株主だからといって何をやってもいいとはならない」「市がレールを作ってそれに従ってくれという説明はどうかと思う。もう少しきちんとした事前説明すべき」などの声が相次いだ。

山岸会長は「地元優先というのが地域の想い。金曜に市に伝えたが、今会議に来て公募が始まったことを知った。住民の想いを尊重してほしい」と話した。

市では公募を10月17日まで行い、10月下旬に優先交渉者を決定し、早ければ年内に株式譲渡契約を締結するスケジュールを公表している。

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