近代洋風建築の旧第四銀行高田支店と旧直江津銀行 上越市有形文化財指定へ

新潟県上越市の文化財調査審議会(委員長・川村知行上越教育大学名誉教授)は2018年3月4日、同市本町4の旧第四銀行高田支店と同市中央3の旧直江津銀行を市有形文化財に指定するよう、市教育委員会に答申した。いずれも市内に残る貴重な近代洋風建築で、高田と直江津の街の発展を表す建物。3月26日の市教委定例会で正式決定される見通し。

昭和初期の銀行建築「旧第四銀行高田支店」

旧第四銀行高田支店は、1931年(昭和6年)に百三十九銀行本店(後の第四銀行高田支店)として建てられた地上3階、地下1階の建物。6本のコリント式円柱がある吹き抜けの1階ホールや装飾が施された天井が特徴的だ。現存する市内の鉄筋コンクリート造りの建物の中で2番目に古く、昭和初期の銀行建築の様式を残し、高田を代表する企業のあり方を示す建築として価値が高い。

旧第四銀行高田支店の1階ホール
第四銀行

第四銀行高田支店として2001年まで使用され、2009年に市に寄贈された。ホールと2階ギャラリーは、昨年4月から貸し館施設の「高田まちかど交流館」として一般開放されている。

擬洋風建築としては市内最古「旧直江津銀行」

旧直江津銀行は直江津積塵せきじん銀行の建物として、1907年(明治40年)に中央2の現在の直江津郵便局西側に建築された。木造塗屋造り平屋建てで、3つの小屋根があるなど西洋と日本伝統のデザインを融合させた擬洋風建築としては市内最古。港町直江津の近代の発展を表す建築として価値が高い。

旧直江津銀行
直江津銀行

建物は銀行解散後に「直江津の石炭王」こと高橋達太氏が買い取り、1920年(大正9年)頃に現在の中央3に移築・改装された。戦時中まで同社事務所として使用され、2009年に市に寄贈された。

建物は赤レンガの防火壁と正面西側のライオン像が有名だが、文化財としての指定範囲は向かって右側の建物のみ。4月からは建物全体が「ライオン像のあるやかた(旧直江津銀行)」として市民に開放される。

旧直江津銀行の内部(上越市文化行政課提供)
直江津銀行内部1

同審議会の川村委員長は「当時は銀行が街のランドマークで、平成の終わりまで高田と直江津で建物が残り、文化財となることは喜ばしい。市民の皆さんも誇りを持ってもらいたい」と話していた。