上越地域消防本部と上越北消防署を統合した「上越地域消防局・上越消防署」の新庁舎が、新潟県上越市藤野新田にこのほど完成した。最新鋭の消防指令センターや体験型の訓練施設を備え、上越の新たな防災拠点となる。2020年3月17日から消防本部は「上越地域消防局」へ、上越北消防署は「上越消防署」へ改称し、全業務を新庁舎で開始する。
同市北城町1の上越南消防署に現在併設されている消防本部の施設規模不足や、同市春日新田の上越北消防署の老朽化などの理由から、新庁舎を建設した。2017年度末に着工し、昨年12月末に完成した。
新庁舎は、鉄筋コンクリート造り地上5階建て、延べ床面積約5488平方mの庁舎棟と、延べ床面積合計約747平方mの訓練棟3棟からなる。屋外には24時間対応可能なヘリポートや、1万リットルの燃料を蓄える自家用給油所を備える。敷地面積は約2万2300平方m。総事業費は54億7000万円。
庁舎棟の1〜3階に上越北消防署、4階に消防本部が移転する。119番通報を受信し、必要な部隊を編成して指令を出す「指令統制室」には、高機能消防指令システムを導入。大画面モニターには、庁舎棟屋上に設置された高所カメラが通報の位置情報を基に現場方向に自動でズームした映像が映し出される。
このほか、災害時にも防災拠点としての機能を果たせるよう、庁舎棟には上越市内の公共建築では初となる基礎免震構造を採用。浸水対策として敷地全体を約2mかさ上げしたほか、1週間分の非常電源設備も備えた。
伊藤公雄消防長は「大規模災害も日常災害も対応できる庁舎になった。市民が体験できる訓練場も設けたので、自らの命を自ら守る力も強化し、上越の総合的な防災力の強化を進めたい」と話していた。