新潟県上越、妙高の朝市で昔懐かしいわらぐつ並ぶ

雪国の昔の生活必需品「わらぐつ」。今はすっかりその姿を消したが、新潟県上越地域の朝市には今でも1軒、手作りのわらぐつが売られ、さまざまな人が買い求めている。

わらぐつを売るのは妙高市上馬場の古川さえ子さん(71)。朝市には1986年頃から出店し、おはぎや赤飯、漬物、サカキなどを売る。わらぐつは冬限定で店頭に並び、今年は年明け1月から販売を始めた。

わらぐつを作るのはさえ子さんの夫、明英さん(74)だ。明英さんは自身で米作りをし、そのわらを使ってわらぐつとしめ縄を作る。わらにこだわり、田植えや稲刈りは機械を一切使わず、自身の手で全て作業するという。さえ子さんは「今はわらぐつを知らない人も多い。(地域に)わらぐつを作れる人はいるが、もうほとんど作らなくなった。雪の上でも滑りにくく、暖かい。ちょっと外に出る時、履くのにいいんですよ」。

古川さん夫妻が製造販売するわらぐつ
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新型コロナウイルスの流行前は外国人旅行客からの注文も多くあった。明英さんは外国人の要望で通常作る大人ものより大きなサイズで作り上げていたという。上越市の児童文学作家、杉みき子さんの作品「わらぐつの中の神様」が小学校の教科書に掲載されていたことから、教材用として買い求める教諭もいた。さえ子さんは「前は兵庫から車で買いに来た先生もいた。杉さんの作品の影響が大きかった」と振り返る。

さえ子さんは現在、上越市の二・七の市、四・九の市、三・八の市、妙高市の六・十朝市に出店。今年は3月頃まで、わらぐつを販売する予定という。大人用(4000円)、子供用(5〜6歳向け・2000円)のほか、飾り用として土産などに人気の5cmほどのミニサイズ(500円〜)などを並べる。さえ子さんは「今はもう実用品ではないが、『珍しい』『懐かしい』と言って買って行く方が多いんですよ」と話している。