妙高市でセブンイレブンが移動販売車を運行 山間部の高齢者ら心待ちに

新潟県妙高市新井地域南部地区の山あいで2018年8月22日、コンビニエンスストア「セブン-イレブン」が移動販売車の運行を始めた。山間部に住む、いわゆる “買い物難民" と言われる高齢者らに食料品や飲み物のほか、日用品などを届ける。

運行がスタートしたセブン-イレブンの移動販売車
移動販売車1

移動販売は、2018年7月に妙高市とセブン-イレブンが締結した「妙高市地域見守り活動に関する協定」の一環で実施。新潟県内では十日町市の松代と柏崎市に続いて3か所目となった。

妙高市で移動販売を行うのは「セブン-イレブン新井長森店」(水口俊春オーナー)。毎週月曜から金曜の午前中に運行し、山あい集落の水原、平丸、長沢の3ルートで各地を訪れる。運行エリアには個人商店を営業する集落があるものの、スーパーやコンビニエンスストアがない。自家用車を持たない高齢者らは日頃、知人に買い物を依頼したり、近くに住む身内と週末買い物にでかけ、品物をまとめて購入する人も多いという。

移動販売車は軽トラックで、冷蔵、冷凍、常温の各品を詰め込み、2、3人が固定曜日に週1〜2回、時刻表に沿って各ルートを巡るという。滞在は1か所およそ20分間。販売しているのは麺類や寿司といった弁当類、おにぎり、パンなどをはじめ、冷凍食品、牛乳、ヨーグルト、菓子、アイスクリーム、カップ麺、各種調味料、ティッシュペーパーや洗剤などの日用品など100〜200アイテムだ。

おにぎりやパン、弁当など100〜200アイテムが揃う
移動販売車2

運行2日目となった23日は平丸ルートの猿橋、下平丸、上平丸を巡った。猿橋集落では消防小屋近くが販売会場となり、高齢者をはじめとした約20人が移動販売車を待ち構えた。住民らは移動車にたっぷり詰め込まれた食品を笑顔で品定め。パンや牛乳、卵などが人気で次々に売れた。シニアカーで訪れた80代の女性はアイスクリームを購入。「楽しみにしていましたよ。家で待っている孫に食べさせたい。毎週買い物にこなくちゃね」と笑顔を浮かべた。

続いて向かった下平丸バス停付近では販売車が到着すると続々と住民が訪れた。パンと歯磨き粉を購入した70代女性は夫とふたり暮らし。昨年夫婦の足となった車を手放し、現在は週末に息子の運転で買い物に出かける。「とてもありがたいです。長野県からの移動販売車も利用しているが、品物も違うのでまた来ます」と話した。

ハンディタイプのレジ。レシートも出るしクレジットカードも使える
移動販売車5

水口オーナー(51)によると、初日に買い物客から「買い物する時にカゴが必要」との要望を受け、早速カゴを準備したという。

特定の商品の要望も多くあったという。「アイスクリームを街のスーパーで購入すると『自宅に戻るまでに溶けてしまう』という声があった。希望の商品を提供できる環境も揃っているし、今後皆さんの要望に応えていきたい。地域の方とのコミュニケーションもより図っていく」と意気込んでいる。

移動販売車は金曜日に水原ルート、火、木曜に平丸ルート、月、水曜に長沢ルートを巡る。問い合わせはセブン-イレブン新井長森店0255−73−7670