新潟県上越市は2021年2月4日、近年厳しい経営状況が続いていた第3セクター、エフエム上越(本町3)の事業を、4月1日付でケーブルテレビ局の上越ケーブルビジョン(JCV、同市西城町2)に無償譲渡すると、市議会総務常任委員協議会で明らかにした。事業譲渡後もコミュニティー放送と上越市からの防災情報の放送は継続される。エフエム上越は会社を清算する。
JCVに事業譲渡されることが明らかになったエフエム上越(上越市本町3のスタジオ)
エフエム上越は、上越市の一部などを放送エリアとするコミュニティーFM局で、阪神淡路大震災を受け災害時の情報伝達手段などとして、1999年に市が51%にあたる2550万円を出資して設立された。
同社の年間売上高約4000万円の半分を市からの委託料が占めている。近年は情報収集手段の多様化などで全国的にラジオ離れが進み、広告収入が減少したことなどから、経営状況が悪化。2020年3月期の決算では、累積欠損金が3135万円に上り、資本金(5000万円)の約6割の水準で、昨年末時点では7割を超えている。
同社が単独での経営健全化は困難との見通しを示したことから、市は3セクの経営健全化を進める中でラジオ放送事業者3社に事業譲渡を打診。妙高市で「FMみょうこう」を運営しているJCVが応じた。
エフエム上越の事業譲渡が報告された市議会総務常任委員協議会(2021年2月4日)
4月1日からはJCVがFMみょうこうとエフエム上越の二つの周波数を運用して内容の異なる放送を行う。エフエム上越の従業員6人の雇用は維持されるという。市はこれまでと同様に行政情報の放送委託料などをJCVに支払う。またJCVは将来的に、上越、妙高両市に同一の内容の放送を行うことも検討しているという。
また会社清算にかかる資金が不足する見込みで、市が1千万円程度の補助金を新たに支出するとしている。
八木智学総務管理部長は「エフエム上越単独での経営改善も行ったが、万策尽きた状態。コミュニティー放送と防災放送を続けるための事業譲渡」と説明した。
19日に開かれる臨時株主総会で会社の清算と事業譲渡が決議される見通し。
▽エフエム上越 https://www.fmj761.com/